高校生、大学生の英語力 12年で向上 TOEFL ITPテスト研究報告書

ETS Japan合同会社は7月8日、2012年から2024年の12年間に日本の高校生と大学学部生が受験したTOEFL ITPテストのスコアを分析した研究報告書を公開した。100万人を超える受験者データを基に、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)の熟達度レベルと突き合わせて検証したところ、高校生・大学生ともに総合スコアが12年間で着実に伸びていることが分かった。報告書の執筆を担当したのは、ETS Japanのジョン・ノリス氏(プリンシパル・リサーチ・サイエンティスト)、小菅洋史氏(国際教育推進部マネージャー)、塩崎修健氏(カントリーマネージャー)の3人である。

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TOEFL ITPは、大学や高校などの教育機関が団体単位で実施する英語能力測定テストで、クラス分けや到達度の把握に広く使われている。日本には1981年に導入され、リスニング、文法・語法、リーディングの3技能を測定する。スピーキングとライティングは対象に含まれない。今回の報告書は、この12年間に日本の高校・大学で実施されたテストのうち、100万件を超える受験者データを対象に、年ごとの平均スコアの推移を追った。

高校生は25点、大学生は28点上昇

高校生の総合スコアは、2012年から2024年にかけて25点上昇した。調査開始時点ではCEFRのA2レベル帯にとどまっていたが、2020年にB1の基準値である433点を上回り、以降もこの水準を維持している。技能別ではリスニングの伸びが最も大きかった。

大学学部生の総合スコアは、同じ12年間で28点上昇した。高校生と異なり、調査期間を通じて平均スコアはB1レベル帯にとどまり続けており、水準を保ちながら緩やかに伸ばしてきた形だ。第一言語が日本語の学生に絞ると、伸びが最も大きかったのはリーディングで、12年間で3.54点上昇している。

第一言語が日本語の生徒は高スコア

高校・大学のいずれの集団でも、第一言語が日本語の生徒・学生は、それ以外の言語を第一言語とする生徒・学生よりスコアが高い傾向を示した。高校生では、第一言語が日本語の生徒の平均スコアが2020年以降にCEFR B1の基準を上回った一方、それ以外の生徒は2021年を除きB1に届いていない。大学生でも、第一言語が日本語の学生がリーディングを中心に高いスコアを維持し続けた。

文部科学省が2014年度に指定したスーパーグローバル大学(SGU)37校に在籍し、第一言語が日本語の学生の伸びは、非SGU大学の学生を大きく上回った。総合スコアは2012年から2024年にかけてSGU学生が36点、非SGU学生が15点それぞれ上昇し、両者の差は拡大した。2024年時点でSGU学生の平均スコアは、世界のTOEFL ITP受験者全体の61%を上回る水準(61パーセンタイル)に達している。

スコアの伸び、教育改革の時期と重複

報告書は、スコアの伸びを日本政府の英語教育改革と関連づけて考察している。文部科学省は2013年12月13日に「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」を公表し、小学校での英語教科化など4技能を統合的に育成する新学習指導要領への移行を進めてきた。新学習指導要領は、小学校で2020年度、中学校で2021年度に全面実施され、高等学校でも2022年度から学年ごとに実施が進んだ。同じ時期には、文部科学省が2013年に始めた官民協働の留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」や、SGU事業を通じた大学の国際化も進められてきた。報告書は、これらの政策とスコア上昇との間に直接の因果関係を証明するものではないと断りつつ、両者の方向性は一致していると位置づけている。

一方で報告書は、分析対象がリスニングとリーディングに限られ、スピーキングとライティングを含んでいない点を限界として挙げている。加えて、調査対象となった学校・大学には選抜性の高い教育機関が比較的多く含まれており、結果を日本の学習者全体の実態として一般化することはできないと注記した。ETS Japanは今後、産出技能を含めた測定手段を導入することで、分析をさらに深める余地があるとの考えを示している。