タイパの次は「メンパ」の時代へ 働く女性の約6割が選択時の判断疲れ実感 AOKI調査
株式会社AOKI(本社:横浜市、代表取締役社長:小出大二朗)は2026年10月20日、同社が運営する「ジャケジョ研究所」による調査の結果を発表した。対象は、ジャケットを着用する機会のある20代から50代の女性1,000人。商品やサービスを選ぶ際、選択肢の多さからメンタルパフォーマンス(メンパ)の低下を感じることがあると答えた人は61.7%にのぼった。リリースでは、単なる時間短縮を意味する「タイパ」だけでは心は整わないとして、選択の負担を減らしてメンパを高める考え方を打ち出している。あわせて、東京大学大学院薬学系研究科教授で脳研究者の池谷裕二氏へのインタビューも公開した。
判断疲れが行動力や意欲を低下させる
選ぶ・決める際の負担(複数回答)では「選択肢が多すぎる」(30.5%)が最も多く、「失敗したくないと思い、決めるまでに時間がかかる」(28.7%)が続いた。選ぶことに疲れた結果として起こりやすい状態(複数回答)は「予定より時間がかかった」(25.4%)が最多だったものの、「その後の行動が面倒になった」(21.2%)、「気分が下がった・やる気がなくなった」(20.2%)も上位に入る。判断疲れは時間を奪うだけでなく、その後の行動力や意欲まで低下させているといえる。
株式会社AOKIプレスリリースより。(画像はクリックすると拡大します)
調査では、自分に最適な選択肢を、迷わずに納得感を持って選べる効率性を「チョイパ(チョイスパフォーマンス)」とし、その向上を望むかを尋ねた。「非常にそう思う」(19.6%)と「まあまあそう思う」(48.9%)を合わせ、68.5%が前向きに答えている。仕事に行く日の朝に選ぶことに負担を感じるものでは「着る服を選ぶこと」(32.2%)が1位で、服選びの手間を減らすために取り入れたい工夫や機能は「マルチウェイ・着回し力」(34.4%)、「セットアップ化」(26.6%)の順に多い。
脳は「パターン化や自動化」が得意
ジャケジョ研究所の特任研究員を務める池谷氏によると、意思決定は複数の選択肢を比べて天秤にかける作業であり、脳にとって非常に認知負荷が高い。何かに膨大なエネルギーを使うと、ほかのところにエネルギーが回らなくなる。池谷氏はこの状態を「自我消耗」と呼ぶ。朝の服選びは天候やTPO、体調など多角的な判断を求められるうえ、脳は起床してから1〜2時間ほどは十分に機能しない。このため朝の選択は、パフォーマンスが悪いと言わざるを得ないという。
マイルールやセットアップで選択肢を減らす仕組みづくりについて、池谷氏は非常に理にかなっていると評価した。脳はもともとパターン化や自動化が得意で、最初は意識して行っていた動作も、慣れれば大脳皮質のすぐ下にある「線条体」という部分を使い、無意識のルーティンとしてこなせるようになる。考えなくてよい部分を自動化して意図的に脳の余白をつくることは、単なる手抜きではない。浮いた認知資源を仕事や人間関係などの大切な局面で生かすための賢い戦略だと、池谷氏はコメントしている。