イーオン、中学校教科書準拠のAI英会話学習サービス「ララランゲージ」 実証実験を9月中旬開始
英会話教室大手のイーオンは9月8日、中学校の検定教科書に準拠したAI英会話学習サービス「ララランゲージ」を開発し、9月中旬に私立中学校数校で実証実験を実施すると発表した。生徒の「スピーキング力」向上という長年の課題に対し、AIとの対話で「話す」時間を確保するとともに、教員の成績評価の負担を軽減するAI評価機能も備えており、教育現場での実用化が注目される。
文部科学省の「令和5年度『英語教育実施状況調査』」によると、中学校で英語授業時間の50%以上で言語活動を行っている学校は71.5%に上るものの、学年が上がるにつれて「話すこと」の割合が減少している。また、生徒側にも人前で英語を話すことへの羞恥心があり、アウトプットの機会が不足しがちだった。
「ララランゲージ」は、こうした課題を解決するため、生成AIを活用した英会話練習機能「AI Friends」を搭載。AIを会話パートナーとすることで、生徒が失敗を恐れずにスピーキング練習を行える環境を提供する。中学生の興味に合わせたトピックや、留学準備としてホームステイでの会話シチュエーションなども取り入れ、楽しみながら学習を進めることができる。
最大の特徴は、東京書籍の検定教科書『NEW HORIZON』に準拠している点だ。授業で学んだ単語や文法をそのまま会話練習で使えるため、知識の定着と実践的な会話力をスムーズに結びつけることができる。ウェブブラウザを利用した学習のため、アプリのインストールは不要で、学校から提供されているタブレット端末で家庭でも学習が可能だ。
株式会社イーオンのプレスリリースより
さらに、教員向けの管理画面も提供される。教員は生徒の学習時間やAIによるスコアを客観的なデータとして把握でき、生徒の主体的な学習状況をより客観的に把握することが可能。AI評価を活用することで、成績評価の負担軽減に繋がるとしている。
実証実験では、生徒側の学習機能の使いやすさ、教師側の管理機能の使いやすさ、さらには生徒の英語コミュニケーション能力や学習意欲の向上についても検証する。イーオンは、実証実験で抽出された課題を解決しながら、2026年春の商用化を目指す。教科書準拠という学校現場に寄り添った設計のAI学習サービスが、中学校の英語教育をどう変えるか、その動向が注視される。