飛騨高山に「新しい大学」 地域とともに未来を共創する

岐阜県飛騨市では初となる飛騨高山大学(仮称)の設立を目指す動きが注目を集めている。なぜ飛騨に大学教育が必要なのか。大学が地域の何を変える可能性があるのか。設立準備に奔走する飛驒高山大学設立基金代表理事の井上博成氏に、目指す教育の具体像と地域の将来ビジョンを聞いた。

理論・実践・対話を通し
、 共創を育む大学の設立に向けて

井上 博成

井上 博成

一般社団法人飛驒高山大学設立基金 代表理事
1989年生まれ。岐阜県高山市出身。東日本大震災をきっかけに高山市と京都大学との間で2014年から自然エネルギーに関する研究を開始し、高山市へ戻るようになる。京都大学大学院経済学研究科博士課程研究指導認定退学。主な研究領域としては自然資本と地域金融。自然エネルギーを研究⇔実践する中で、木質バイオマスエネルギーや小水力での事業化をはじめ、木材そのものの利用に高い関心が生まれ、飛騨五木㈱(2015年)の立ち上げや、金融への関心から東海地方で当時唯一の管理型信託会社であったすみれ地域信託㈱(2016年)の設立など、理論と実践とを日々往復している。

飛騨高山大学(仮称)が構想するのは、地域や実践に関心の高い学生や関係する人材が集い、学び、混ざりあうことで、大学が地域の元気・価値・成長を創り、共創(Co-Innovation)を育む場所となることだ。高山市出身の井上博成氏は東日本大震災を契機に地域における地域経営や地域自治の必要性を感じ、今の研究テーマである、自然資本や地域金融への価値を感じたという。

「大学設立は高校時代からの夢でした。そのためにはまず官僚としてキャリアを積み、政治家になろうと考えていました。ただ、震災の二重災害を見るにつけ、エネルギー政策をはじめとしたトップダウンの施策に限界を感じ、地域が自ら動く必要性を実感しました」。その後、高山市と京都大学の間で自然エネルギーに関する研究を2014年から始め、郷里にUターンした。

大学時代の指導教官に、学問にとどまることなく実践が大事だと背中を押され、研究テーマから2015年に小水力発電を行う飛騨高山小水力発電株式会社を設立。後には各地に法人を設立して…

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