【9月25日関芳弘文科大臣会見要旨】台風第25号、学校施設の被害362件 学びの継続と心のケアに全力

関芳弘文部科学大臣は2026年9月25日の記者会見で、台風第25号による文部科学省関係の被害状況を説明し、児童生徒の安全確保や学びの継続、心のケアの充実に全力を尽くす考えを示した。あわせて、就任後初の出張となった愛知県名古屋市での視察内容を報告した。国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の諏訪理宇宙飛行士が国際宇宙ステーション(ISS)での長期滞在で搭乗する宇宙船と、その打ち上げ時期の決定も報告している。質疑では、東京大学教授のSNSへの投稿をめぐる大学の対応や、日本維新の会所属議員の大臣政務官就任についても答えた。

就任後初の出張で名古屋を訪問

関大臣は9月19日と20日の2日間、名古屋市を訪れた。関大臣によると、名古屋市では休日の公立中学校の部活動をすべて地域クラブ活動として実施しており、今回はラグビーの活動を視察した。専門性の高い指導のもと、従来の部活動にはなかった種目に熱心に取り組む生徒の姿に触れ、部活動の地域展開がもたらす新たな価値を実感したと語った。

この訪問では、第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)の開会式にも出席した。翌日に開かれたTEAM JAPANのレセプションでは、日本国政府を代表して歓迎のあいさつを述べている。大会期間中には、TEAM JAPANを支援する現地サポート拠点や女子バスケットボール日本代表の試合などを視察し、大会運営や選手を支える関係者の取り組みを確かめたという。

関大臣は今回の出張を振り返り、部活動改革の実情を直接把握するとともに、アジア各国・地域から多くの選手や関係者を迎える大会の運営状況を自ら確かめることができたと述べた。得られた成果は、今後の文部科学行政に最大限生かす考えだ。大会では会見前日の24日、卓球男子団体が60年ぶりの金メダルを獲得し、競泳200メートル平泳ぎでは大橋信選手が世界新記録で金メダルに輝いた。関大臣はTEAM JAPANの活躍をたたえ、さらなる健闘に期待を寄せた。

諏訪宇宙飛行士の搭乗機が決定

諏訪宇宙飛行士は、2027年3月以降に打ち上げ予定の米国のクルードラゴン宇宙船運用14号機に搭乗することが決まった。今回のISS長期滞在は、諏訪宇宙飛行士にとって初めての宇宙飛行となる。関大臣は、今回の滞在が本人にとって有意義なものになるのはもちろん、ISSの科学利用や将来の有人宇宙活動にとっても大きな成果につながることを文部科学省として期待していると語った。

台風第25号で学校施設に362件被害

質疑の冒頭では、台風第25号で千葉県や神奈川県などの学校に大きな被害が出ていることを受け、子どもたちの心のケアや学習面の支援など、国としての今後の対応が問われた。関大臣は亡くなった方々への哀悼の意と被災者へのお見舞いを述べたうえで、文部科学省関係の被害状況を説明した。24日正午時点で、学校管理下での児童生徒などの人的被害は報告されていない。一方、物的被害は学校施設で362件、社会教育施設で40件にのぼり、内装材や設備のはがれ、落下などが確認されている。同日時点で休校したのは35校、短縮授業を行ったのは9校で、社会教育施設2施設が休館した。

関大臣は、休校などで学習に遅れが生じないようにすることも、被災した児童生徒の心のケアに配慮することも重要だとの認識を示した。今後も教育委員会などの関係機関と連携して情報収集に努め、児童生徒の安全確保や復旧支援、学びの継続、心のケアの充実に全力を尽くすという。学習の遅れへの対応を重ねて問われると、学校現場としっかり打ち合わせをしながら対応を応援していく考えを述べた。

東大教授の投稿、対応は大学が判断

続いて、東京大学の教授によるXへの投稿をめぐる質問が出た。記者によると、この教授は他人の投稿ではあるものの、女性皇族の写真に添える形で「遺伝的要因の恐ろしさを感じる」という内容を投稿し、差別的ではないかと批判を受けている。東京大学は教授に注意を行ったと公表しているが、過去に差別的な書き込みをした別の教員は懲戒解雇されており、記者は対応が二重基準ではないかとの声もあると指摘した。

関大臣はまず、この事案には9月11日の記者会見で松本洋平前文部科学大臣が回答済みだと前置きした。東京大学が当該教授に注意を行うとともに、今後速やかに構成員へ人権尊重とコンプライアンスの重要性を周知すると聞いていると説明し、「他者の尊厳を毀損するような言動はあってはならない」と強調した。個別の事案にどう対応するかは、この考え方に基づいて大学が適切に判断すべきだという。大学は公共性などを踏まえ、知的な価値を創造することで社会をリードする使命を持つとして、東京大学には今回の事案への対応とガバナンス、コンプライアンスの強化に取り組んでほしいと求めた。二重基準との指摘に対しては、過去の処分事例もしっかりと踏まえたうえで、今回の事案に適切に対応してほしいとの考えを示した。

維新所属の政務官と連携へ

最後に、日本維新の会との閣内協力について質問があった。24日に事務引き継ぎを終えて副大臣・大臣政務官が始動し、文部科学省には日本維新の会から美延映夫文部科学大臣政務官が就いた。関大臣は、高市内閣が日本維新の会と連立を組み、連立政権合意書に掲げた政策の実現に取り組んできたと説明した。美延政務官には、大阪市議会での経験などを生かして存分に活躍してほしいと期待を寄せる。担当は科学技術・学術政策や文化政策などで、文部科学行政を前に進められるよう力を合わせて取り組むとした。

一方、自民党内には、政府三役に就く若手の機会が奪われるとの懸念もある。関大臣は、人事に関わることだとして回答を控えつつ、内閣が専門知識や経験などを総合的に勘案して行ったものと認識していると述べた。