大学教員の 8 割が研究時間の不足を実感、文科省調べ

文部科学省の科学技術・学術政策研究所(NISTEP)は5月14日、2023年度「科学技術の状況に係る総合的意識調査」(NISTEP定点調査)の結果を発表した。

NISTEP定点調査は、第一線で研究開発に取り組む研究者や有識者約 2,200名を対象に、継続的に行う意識調査。意識という主観的な情報に焦点を当てることで、わが国の科学技術やイノベーション創出の状況を、客観的な定量データでは見えない点も含め、包括的に把握することを目的としている。

科学技術・イノベーション基本計画の期間中、同一の回答者に同一の質問票を用いて実施。2023年度調査は、第 6 期基本計画(2021~2025 年度)の3年目にあたる昨年9 月から 12 月にかけて行われ、1,972 名から回答を得た。

望ましい能力をもつ博士後期課程進学者の数、基盤的経費の確保、研究時間、学術研究・基礎研究、政府の研究費マネジメント、ギャップファンドの確保に対する厳しい認識が、これまでの調査から継続して見られた。

特に、大学教員の約 8 割が研究時間の不足を実感しており、その結果、論文をはじめとする成果物の作成・公表、実験・分析の実施、研究の構想など、まとまった時間が必要な活動を犠牲にする傾向が見られた。

背景には、人材不足や研究費不足、入試の多様化や多様な学生ケアの必要性、手続き負担の増加などが挙げられ、これらを通じて大学教員一人当たりの業務量が増加しているという構造的な課題が示唆された。

解決案として、基盤的経費の拡充、研究の重要性への合意形成とそれに基づく改革の推進、煩雑な管理方針からの転換、大学間の競争から協働への転換等が提案された。

詳しい調査結果は以下から見ることができる。

https://nistep.repo.nii.ac.jp/records/2000106

 

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