SNS相談「ほっとらいん」で子ども同士の共助をサポート 熊本市教委

熊本市教育委員会は、2019年からSNSを活用した心のケア相談「ほっとらいん」を実施している。

小学生から高校生まで、子どもたちの悩みはSNSで発信されることが多くなり、時には重要なSOSを発する場にもなっている。そこで、SNSを使った子どもたちのメンタルヘルスケアへの試みや、SNSだからこそできる心の育成が注目されている。

LINEを活用した心のケア相談「ほっとらいん」は、学校などから案内されたQRコードを子どもたちが読み取り、友だち追加して利用するもの。画面に出てくる6つのメニューには、専門心理カウンセラーに相談するトークや、電話・メール相談の場所を調べたり、いじめ・虐待などを教育委員会に知らせる機能がある。

メニューの一つ「みんなに相談」は、自分の悩みを匿名で同世代に相談できる。さらに、登録している子どもたちは、公開されている相談に回答できる仕組みになっている。子どもたちが悩みを共有して、互いの力で解決できる場の提供を目的としている。2020年12月27日までに投稿(公開)された相談数は274件で、810件の回答が寄せられた。悩みを持つ子どもたち同士がともに励まし合い、助け合う「共助」の働きが起こっている。

このように利用者同士のつながりを可視化することで、「コミュニティ免疫力」の向上が起こると考えられている。コミュニティ免疫力とは「集団自体の問題解決能力」のことで、SNSを上手く活用することで高めることもできると期待されている。

試みの一つとして、熊本市教育委員会の「ほっとらいん」では、植物を使った「タイプ別診断テスト」をメニューに取り入れた。診断結果は、キャラクターのイラストとともに自己理解と他者理解を深める内容になっていて、自分の「トリセツ」と友だちの「トリセツ」を共有できる。お互いが何を考え、どのような人物なのかを、言語化・可視化することで誤解や思い込みを減らし、相互理解が深まることで集団(学校や企業、地域など)の健康性が向上するという。

21.1.18news2