【2026年6月2日松本尚デジタル相会見詳報㊦】「生成AIはネット情報のみを学習は誤り」 読売社説に反論 質問通告の早期化も国会側に要望
松本尚(まつもと ひさし)デジタル大臣は2026年6月2日の定例会見で、国会答弁への生成AI活用を批判した読売新聞の社説に対し、「生成AIがインターネット上の既存情報のみを学習するという前提は一般論であり、政府が活用するガバメントAI『源内(げんない)』はそういう仕組みではない」と明確に反論した。AIのアウトプットをそのまま読み上げることは「基本的にしない」と運用の実態を説明したうえで、国会側に対して質問通告の早期化を要望した。
ガバメントAI「源内」の内製と国会答弁への活用
共同通信の質問に対し、松本大臣はまず前提を整理した。政府はガバメントAI「源内」を内製し、国家公務員の業務軽減に活用しており、国会答弁の作成もその対象に含まれる。質問に関連する制度の洗い出しや過去の答弁内容の整理、場合によっては答弁の骨格の作成を源内に担わせている。それに加えて官報・法令・白書・統計など膨大な政府共通データを収集整備することで、より中身の濃い答弁書を作ることを目指している。松本大臣はデジタル庁の大臣として「積極的にアウトプットの部分でAIを使っていく必要がある」との立場を示した。
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「ネット情報のみ」は一般論 政府の活用実態と異なる
読売新聞は2026年5月31日付社説「政府と生成AI 答弁の重み分かっているのか」で、生成AIがインターネット上の既存情報を学習した結果に基づきアウトプットするものとして国会答弁への活用を批判していた。これに対し松本大臣は「それは一般論でそうなのであって、源内はインターネットだけで物事を作っているわけではない。そこがまず認識として少し違う」と指摘した。職員は源内が生成したアウトプットをそっくりそのまま大臣のもとへ持参するのではなく、加筆修正や事実確認を細かくチェックしたうえで提出する運用になっているという。「本会議は読み上げているが、委員会はとにかく読み上げない。自分の言葉で話しているだけだ」とも述べた。
AIのアウトプットをそのまま使うことは「基本的にしない」
松本大臣は、源内が作ったものをそのままアウトプットすることは「基本的にしない」と明言した。「きちんと文章が出てくるまでの間のプロセスがものすごく効率良くなっている。そこに意味がある」と強調し、社説が批判するようなAIのアウトプットをそのまま読み上げる運用にはなっていないと説明した。社説が指摘した「質問する側も答える側もAIでやるなら議論の意味がない」という点については「全くその通りで、これまでも委員会の中でそう言い続けてきた」と同意したうえで、「そういった中身をきちんと踏まえて社説を読んでいただかないと困るので、少し反論をした」と述べた。
質問通告の早期化を国会側に要望 「夜6時・7時になるケースも」
一方で松本大臣は、社説の末尾で「官僚の負担軽減は議員が質問を通告する時間を早めて実現すべきだ」と指摘していた点については「非常にありがたい話だ」と評価した。現状では質問が夜6時・7時になるケースもあり、そこから答弁書の作成が始まるため源内を使っても夜中になる場合があると説明した。「国家公務員制度担当大臣として、彼らの仕事をいかに効率よくやらせてあげるかが大事だ。衆参とも与野党の国会対策委員会が努力してスケジュールを決めていることは十分承知しているが、より一層、質問が早く出てくることをお願いしたい」と国会側に要望した。そのうえで、源内を活用して効率よく答弁書を作ることと、AIのアウトプットをそのまま使うことはできる限り控えて自分の言葉で答弁していくこととの両立が重要だとの考えを示した。
本記事は2026年6月2日のデジタル庁定例会見要旨(デジタル庁公式HP掲載)をもとに先端教育オンライン編集部が作成しました。発言は一部要約しています。松本大臣が反論した読売新聞社説は2026年5月31日付「政府と生成AI 答弁の重み分かっているのか」(読売新聞オンライン、有料)です。ガバメントAIの正式名称は「源内(げんない)」(デジタル庁公式HP参照)。