コロナ禍で問われる知のリテラシー 高等教育の側に必要な変化とは?

コロナ禍でより鮮明となった将来の不透明さ。その中で社会人に必要な学びとは何か、高等教育機関はそれをどのように提供すればいいのか。社会人の学習に詳しいリクルート進学総研の乾喜一郎氏と、社会情報大学院大学の川山竜二研究科長・教授がリカレント教育のあるべき姿について語った。

コロナ禍で広がる、学び直しの格差

乾 喜一郎

乾 喜一郎

リクルート進学総研 主任研究員(社会人領域)
一貫して進学・就職・転職といったキャリアに関する領域に携わり、資格取得者や社会人大学院生など、これまで取り上げてきたライフヒストリーは3000例以上。2006年ケイコとマナブムックシリーズ編集長、2019年現職。社会人学習の専門家として文部科学省など各種有識者委員を歴任。GCDF-Japan キャリアカウンセラー、白百合女子大学非常勤講師。

川山 竜二

川山 竜二

社会情報大学院大学 研究科長・教授
筑波大学大学院人文社会科学研究科にて社会学を専攻。専門学校から予備校まで様々な現場にて教鞭を執る実績をもつ。現在は、「社会動向と知の関係性」から専門職大学、実務家教員養成の制度設計に関する研究と助言も多数おこなっている。文部科学省実務家教員 COE プログラムの責任者を務める。

川山:新型コロナウイルス感染症の拡大は、リカレント教育(学び直し)にどの様な影響を与えたのでしょうか。

乾:コロナ禍でオンライン学習が活発になったことで、地域や時間に捉われず、ますます学習しやすい環境になりました。

こうした状況の中、Web セミナーなどの学習機会の情報が日々自分の SNS 等のタイムラインに流れるタイプの人と、学習に関心がなく、あえて検索しなければそうした情報に触れないタイプの人との間で、学習機会の格差がすごく広がっているのではないかと考えます。

川山:マタイ効果みたいな話ですね。これまで学習意欲があった人達は、より学習しやすくなるので、どんどん学びが進む。一方、学習意欲のなかった人達は、外にも出なくなったので、情報がより遮断される。

※マタイ効果とは、好条件の環境下にある科学者が優れた業績を示すことで、より好条件に恵まれるという現象のこと。同様の現象は他分野でも見られる。

外出すると、意図しない情報に触れる機会もありますが、仕事も自宅で、パソコンに一対一で向かっていると、自分で取捨選択した情報しか入ってきません。学び直しをしない人は、より学びをしなくなっている可能性もありますね…

(※全文:4321文字 画像:あり)

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