Xスペース配信 公開インタビュー 中村俊介氏、竹林正樹氏、ひろちゅ~氏

# 進化する構想。 活躍する経営者に、創業時の構想と、現在の構想を伺います。新規事業の発想、着想、示唆を得ることができます。

本来の個性 誰でも発揮
仕組み構築で支援

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中村 俊介

中村 俊介 氏

株式会社しくみデザイン
代表取締役
1975年生、名古屋大建築卒。CADバイトでプログラミングに夢中になり、九州芸工大院で人間と技術の直感的なやりとり(インタラクション)を研究。メディアアート「神楽」で特許取得、2005年しくみデザイン創業。AR楽器「KAGURA」でIntel世界一、福岡県・市文化賞受賞。Springin’開発で誰もがクリエイターに。

発想力を解き放つ
根源にある仕組み

中村社長は、物事の本質を捉え、応用することに喜びを感じると話します。その根底にあるのは「仕組み」への飽くなき探求心。音声配信では、数学の公式を例に挙げ、学生時代の勉強では公式を丸暗記よりも、根本的な仕組みを理解してしまえば幅広く応用が利き、楽しかったという話が飛び出しました。この根本の仕組みを発見する楽しさが原点であり、発想力を発揮できる仕組みを作ることがビジネスを構想する原点と語ります。

#進化する構想 #しくみデザイン
#中村俊輔

KAGURAを操作する中村社長。空中を触るだけで音楽が演奏される

楽器演奏もゲーム制作も
誰もが楽しめる世界へ

「KAGURA」と「Springin’」は、楽器演奏やゲーム制作の経験がない人でも、直感的な操作で楽しめるプロダクト。音声配信では、楽器が弾けないという中村社長自身のコンプレックスが「KAGURA」開発の原点になったエピソードを披露。「楽器を演奏できないのは本人の練習不足と思いがちです。しかし、本当にそうですか?楽器のせいとも考えられませんか?」とコメント。誰もが自己表現を楽しむことができる仕組みを提供するのが使命だと語ります。

#進化する構想 #KAGURA #Springin

「クリエイターをクリエイト」
個性を拡張する試み

中村社長は、他の人が個性を発揮できる環境を創出したいと考えています。「Springin’」は、作品を発表して評価し、共有できるプラットフォーム。音声配信では、ユーザーからのフィードバックを積極的に取り入れ、プラットフォームを改善してきた過程を語りました。キャラクターの「動き」や「形」を表すアイコンを組み合わせる独自のプログラミング手法は、タッチパネルなどの直感的な操作だけで創作できるため、子供を中心に広がりを見せています。プログラミング教育必修化の流れが追い風になり子供たちにも広まった意外な展開も紹介。ユーザーは個性を刺激し、新たな表現方法を学び、成長していくことができます。

#進化する構想 #クリエイター
#プラットフォーム

個性を社会課題に活かす
新たな価値創造への挑戦

中村社長は、子供向けプログラミング教育ツール「Springin’ Classroom」の開発秘話を披露。プログラミングは本来、新しいものを生み出すためのツールであるはずなのに、多くの人がエラー表示で心がくじけてしまいます。そこで、エラー表示が出ない開発環境を作れば、誰もがプログラミングの壁を感じることなく開発を楽しむことができるのではないかと考えました。文字を使わず、直感的な操作でゲームが作れるようにしたことで小学生でも手軽にゲーム開発できる仕組みを構築しました。小学生が開発したゲームがゲームセンターで遊べるようになるなど、「Springin’」が生み出す新たな可能性にも話が及びました。誰もが個性を発揮し、より豊かで幸せな人生を送れる社会の実現を目指します。

#進化する構想 #社会課題解決 #個性

「楽器演奏が上達しないのは
本当に練習不足が原因ですか?」
──── 中村 俊介

 

 

# 構想に活かすアカデミズム。 第一線で活躍されている研究者の方から専門分野でビジネス課題解決に役立つアイディアを伺います。

嫌な事先送りなど
ナッジ理論で解決

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竹林 正樹 氏

竹林 正樹 氏

青森大学社会学部客員教授
青森県出身。青森大学客員教授。立教大学経済学部、米国University of Phoenix大学大学院(Master of Business Administration)、青森県立保健大学大学院修了(博士(健康科学))。行動経済学を用いて「頭ではわかっていても、健康行動できない人を動かすには?」をテーマにした研究を行い、年間10本ペースで論文執筆。「ホンマでっか!?TV(フジテレビ)」を始め、各種メディアでナッジの魅力を発信。代表作は「心のゾウを動かす方法」(扶桑社)、「介護のことになると親子はなぜすれ違うのか」(GAKKEN)。

先送りしたくなるのは、脳の特性のため

先日公開取材を実施した「構想に活かすアカデミズム」では、竹林正樹先生から、重要な課題でも先送りしてしまう背景を伺いました。これは「現在バイアス(将来の利益よりも、目の前の短期的な快楽を過大に評価してしまう心理傾向)」が強いと、頭では「行動したほうがよい」とわかっていても、腰が重くなるからです。

このような脳の特性によって「知識はあっても行動につながらない」という状態になっているため、どんな啓発や説得を行っても行動に至らないことも、よく起きます。このような場合、インセンティブ(行動したらご褒美がもらえ、行動しなかったら罰金)が使われることがありますが、多くの研究からインセンティブに釣られて行動しているうちに内的動機が阻害される可能性が指摘されています。かと言って強制的に相手を動かそうとすれば、ハラスメントで訴えられる可能性があり、あまりお勧めできません。

##構想に活かすアカデミズム
#現在バイアス #先送り対策

時間、場所決め宣言
提出率が75%に向上

そのような場合に有効なのは、行動経済学から生まれた「ナッジ」です。ナッジは、強制やインセンティブに頼るのではなく、心理特性に訴求した行動を促す手法で、提唱者のリチャード・セイラー博士(米国)がノーベル経済学賞を受賞したこともあり、世界で注目されています。ナッジの中で特に有名なのは「コミットメント(将来の先送りを見越して、事前に対策を講じるナッジ)」です。コミットメントの研究を紹介します。大学のあるクラスではレポート提出率が33%でしたが、別のクラスでは「レポートを作成する時間と場所を決めて宣言すること」と指示したところ、提出率が75%に向上しました。「いつかやろう」と考えていても、目先の誘惑に飛びついて先送りしたくなるものですが、時間と場所を決めて、さらに宣言するというコミットメントによって、先送りしようとすると「やらない自分が恥ずかしい」という気持ちが生まれ、行動に繋がりやすくなったのです。

#構想に活かすアカデミズム #ナッジ
#行動変容

組織課題への新たな視点
パワハラ防止に「2分ルール」

竹林先生が以前、海外の組織でパワハラ事案を統計解析したところ、最も訴えられる可能性が高いのは「指導時間が長い人」ということが判明しました。想いがあふれて熱弁をふるっていたら、相手にはいやがらせだと受け止められていたようです。この結果を受け、その組織で導入したのは「指導はPREP(Point-Reason-Example-Point)法による2分ルール」でした。最初と最後にPointがあることでタイムリーナッジ(ちょうどよいタイミングで伝え るナッジ)となり、さらに2分間というコンパクトさ(簡素化ナッジ:ノイズを除去するナッジ)によって、相手にも受け入れられやすくなりました。

#構想に活かすアカデミズム
#パワハラ防止 #コミュニケーション改善

ナッジの活用により
日本の生産性上昇も

竹林先生は、生産性を高める手法としてのナッジの意義についても触れています。日本は米国に比べて生産性が6割程度です。職場で認知バイアスによるすれ違いが起きるたびにコストが余分にかかり、生産性が低下します。この状態を個々の努力で打破するのは難しく、認知バイアスに沿った手法であるナッジを活用したほうが解決できる場合が多いのです。社会は「経験と勘」「努力と根性」から、「エビデンス重視」へと移り変わってきています。ナッジが求められているのは、時代のニーズに合致しているからと言えます。

#構想に活かすアカデミズム
#構想実現 #行動デザイン

「パワハラ防止には、指導の2分ルール」
──── 竹林 正樹

 

 

#進化する構想

クリエイターのマネタイズ
AI登場で劇的に容易に

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ひろちゅ~ 氏

ひろちゅ~ 氏

AIスクール『キラリオン』運営
AIで誰もがクリエイターとして活躍できることを目指す。画像生成やChatGPTを活用し月利300万円超を達成。AI スクール『キラリオン』運営。ゲーム製作者、漫画家、Web開発者、経営者として活動。Ti ps売上月間1位。TBS news23でAI解説出演。創作やマネタイズに役立つ知識を伝える。

創業の原点
情熱とAIとの邂逅

ひろちゅ~氏は、AIクリエイターとしての活動を始めたのは、約2年前だと語ります。本業はゲーム制作で、企画からプログラミングまで手掛ける会社を経営。そこではクリエイターとしての自分を磨きつつ、AIを活用した効率化に取り組んできました。最初は、AIで自動化ツールを作るようなニッチな発信から始めたと言います。たとえば、生成AIがまだ一般的でない黎明期に、プログラミング寄りの内容をXで投稿していたものの、フォロワーが伸び悩み、「これでは少し早すぎたのかもしれない」と感じたそうです。

当時、生成AIとは何かと疑問を持つ人が大半だった時代に、専門的すぎる内容を発信していたひろちゅ~氏は、もっと広い視点で「AIで何ができるか」を伝える方向にシフト。たとえば、画像生成や動画制作、ビジネスの効率化など、AIでの作品創作と実用性を融合させた話題に変えたところ、反応が一気に増えました。好きなAIでの作品創作分野での発信が楽しくなり、フォロワーも増えていったこの経験が、後にスクール事業を始めるきっかけになったと振り返ります。創業時の情熱は「ものづくりを楽しむ」こと。それがAIと出会い、「誰でもクリエイターになれる可能性」を広げる構想に進化したと語ります。

#AI創業ストーリー #情熱と技術革新
#クリエイターの原点

クリエイター支援への転換
スクール事業で伝える価値

ひろちゅ~氏は、スクール事業は当初考えていなかったと語ります。発信を続ける中で、自然と「需要がある」と感じたことがきっかけでした。AI普及以前、クリエイターになるのは本当に難しかったのです。作品を完成させられる人は1割以下で、マネタイズまで辿り着くのはさらに一握りでした。しかし、AIの登場で状況が変わりました。初心者でもボタン一つで高品質な作品を作れるようになったのです。これは革命的だと感じたと述べています。

ただ、完成品を作れるだけでは意味がありません。どうやって価値あるものに仕上げ、マネタイズするかで、多くの人が壁にぶつかっているのを見てきたひろちゅ~氏は、AIの登場によって、クリエイターの収益化は以前と比較して劇的に容易になったと指摘。そして、好きな分野に打ち込み、AIを積極的に活用することで、誰もがそのニッチな分野における第一人者になりうるチャンスが生まれていると語ります。AI普及以前からクリエイターとして自立していたため、マーケティングやビジネスモデルの知見を活かせると考え、スクール「キラリオン」では、スキルより「作ることが好きかどうか」を重視。AIスキルがなくても、情熱があれば誰でも参加可能です。逆にスキルがあっても「どう活かせばいいかわからない」という人も来ると言います。伝えたいのは、技術ではなく「何を作りたいか」「どう需要を捉えるか」。創業時から変わらないのは、アイディアを形にすることを楽しむ人を増やしたいという想いであり、それをAIで加速させるのが今の構想だと語ります。

スクール受講生の伊藤貴將氏の作品

#AIクリエイタースクール #創造力開花
#マネタイズ新時代

未来への展望
融合と共創のコミュニティ

ひろちゅ~氏は、今は発信とAIでの作品創作活動を分けていますが、これからは融合させたいと考えていると語ります。AIで作った漫画や動画を、集客や販売促進といったビジネスの現場で直接活用する具体的な方法を提示し、それを講座で教える構想です。たとえば、LPに使う漫画や商品紹介動画など、創造的な制作とビジネスの成果を一体化させる分野に注力したいと考えています。ツール開発も再開し、AI動画ツールを販売したり、その紹介において、そのツールならではの魅力的な映像表現や活用事例を示すコンテンツを作ることも検討しているとのことです。

しかし、もっと大きなビジョンは、AIを「人間の可能性を解放するツール」と捉え、その考えに共鳴する人を集めることだと語ります。AIにネガティブなイメージを持つ人や、金儲けだけに使う人もいますが、ポジティブに活用する人を増やしたいと考えています。また、「発信を見てAIは希望になると感じてくれる人がいたら嬉しいですし、そういう人たちとコミュニティを作って、一緒に楽しんでいきたい」と述べています。AIスキルは技術の進化で解決されるので、提供するのは「何をしたいか」「どう需要を見つけるか」という視点。創業時から変わらない「ものづくりを楽しむ」精神を、AIでさらに広げていくのが今の夢だと語ります。

#AIと共創 #クリエイティブの未来
#可能性の解放 #コミュニティ形成

自分の好きな分野追求し
AI 第一人者目指そう。」
──── ひろちゅ~