働き方、採用等のデータから読み解く 質の高い教員確保への具体策

新型コロナウイルス感染症拡大による長期間の休校により、学習の遅れを埋める方途として教員の確保が挙げられている。本稿ではデータからその具体策を考える。

教員の労働環境と採用倍率

相澤 真一

相澤 真一(あいざわ・しんいち)

博士(教育学)。専門分野は教育社会学、社会調査、比較歴史社会学。慶應義塾大学総合政策学部卒業。2009年、東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。中京大学現代社会学部准教授などを経て、2019年より現職。オックスフォード大学客員研究員(2011年度)、ベルリン自由大学客員教授(2016年度)。

今回の新型コロナウイルス感染症拡大による長期間の休校によって、学習の遅れを埋め合わせるための対策が検討されている。しかしながら今回、9月入学の政策検討過程を見ながら、筆者らが『9月入学導入に対する教育・保育における社会的影響に関する報告書』※1の推計をして明らかになったことは、日本の教育政策の立案過程においては、データから推計、政策を検討するのではなく、論点が場当たり的にまとめられる政策によって対策が立てられる傾向が強いということである。

※1 相澤真一・岡本尚也・荒木啓史・苅谷剛彦著「9月入学導入に対する教育・保育における社会的影響に関する報告書」[改訂版],2020年。http://www.asahi-net.or.jp/~vr5s-aizw/September_enrollment_simulation_200525.pdf…

(※全文:2409文字 画像:あり)

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