人事評価制度がない中小企業、賃上げ実施率はある企業の半分以下 評価基準の「ブラックボックス化」が離職招く
物価高や人手不足を背景に中小企業でも人材確保に向けた賃上げが急務となる中、日本人事経営研究室株式会社は全国の中小企業で働く一般社員400名を対象に、人事評価制度と経営計画の有無がもたらす影響についての調査結果を発表した。
賃上げ実施率に約2倍の格差が発生
直近1年間で給与が上がったかという問いに対して、全体の56.8%が「かなり上がった」「少し上がった」と回答した。この結果を制度や計画の有無別に見ると、人事評価制度と経営計画が両方ともある企業では73.0%が賃上げされたと答えた一方、両方ともない企業では38.0%にとどまり、実施率に約2倍の格差が生じている。
また、実際の賃上げ率については、「3%未満」が59.9%、「3%以上5%未満」が32.2%と、9割以上が「5%未満」にとどまっており、45.0%の社員が「5%以上」の賃上げを希望している実態との間にギャップが見られる。給与水準や賃上げ結果への納得度でも、両方ともない企業では72.0%が納得していないと回答しており、評価やビジョンの欠如が不満につながる傾向が浮き彫りとなった。
評価基準の不透明さが招く不信感と離職リスク
自らの仕事が適正に評価されていると感じる割合は、両方ある企業で43.0%、両方ない企業では24.0%であった。評価されていないと感じる理由として「評価基準がブラックボックス化しているから」を挙げた割合は、両方ある企業が26.3%であったのに対し、人事評価制度がなく経営計画のみある企業では63.5%、両方ない企業では48.7%に上っており、評価基準の不在が社員の強い不信感を生み出している実態が確認された。
日本人事経営研究室株式会社公式プレスリリースより
さらに、今の会社で働き続けたいかという質問では、両方ある企業が63.0%だったのに対し、両方ない企業では41.0%まで低下した。働き続けたいと思わない理由の筆頭には「給与や待遇に不満があるから」が挙げられており、両方ない企業ではその割合が61.0%に達している。
組織成長のエンジンとしての仕組みづくり
日本人事経営研究室株式会社の代表取締役である山元浩二氏は、今回の調査から人事評価制度と経営計画の連動が社員の働きがいを創り出し、業績向上や賃上げの原資を生み出す組織成長のエンジンであると実証されたと言及している。中小企業が属人的な経営から脱却して人材を育成し、生産性を向上させるためには、経営計画で会社の将来像を示し、人事評価制度で具体的な行動指針とキャリアパスを示す仕組みの構築が不可欠であると指摘した。