移民国家ドイツの教育政策 学力格差と終日学校への転換
欧州一の移民大国として知られるドイツ。本稿では、移民による学力格差の拡大が終日学校への転換につながったドイツの教育政策と社会に焦点をあてたい。
PISAショックを経て、半日学校から終日学校へ

布川 あゆみ(ふかわ・あゆみ)
博士(社会学)。東京外国語大学世界言語社会教育センター特任講師。専門は教育社会学・比較教育学。著書に、『現代ドイツにおける学校制度改革と学力問題:進む学校の終日化と問い直される役割分担のあり方』(晃洋書房、2018年)など。
ドイツの教育と聞いて、読者のみなさんは何を思いうかべるだろうか。日本では「シュタイナー教育」がよく知られているかもしれない。あるいは、職業教育分野における「デュアル・システム」を思い浮かべる人もいるかもしれない。本稿で取り上げるのは、日本では知られていない(と思われる)ドイツの「終日学校(Ganztagsschule(ガンツタークスシューレ))」である。英語では All-day School と訳される。この終日学校を通して、ドイツの教育と社会に焦点をあてていきたい。
日本では小学校1年生から学校(授業)が午後もあることは…
(※全文:2467文字 画像:あり)
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