AI教育国をめざす、ベトナム高等教育の挑戦

AI分野では、多くのエンジニアをベトナム人材が占める日本のスタートアップもある。ベトナムでは、企業の即戦力となる先端技術分野の専門教育が進んでいる。

高等教育システムの変容

関口 洋平

関口 洋平(せきぐち・ようへい)

博士(教育学)。日本学術振興会特別研究員、広島大学教育開発国際協力研究センター研究員を経て、現在は畿央大学教育学部講師。主な著書に『現代ベトナム高等教育の構造:国家の管理と党の領導』(東信堂)がある。

1988年11月、ドイモイ路線のもとで本格的な市場経済を導入してまだ間もないベトナムに、民間の企業が設立された。FPT(Food Processing Technology)食品加工株式会社である。ベトナムが急速に経済発展を進めるなか、FPT は機軸を食品工業から情報通信へとシフトさせ、現在は大手通信系企業「FPTグループ」としてベトナム経済をけん引する存在となっている。

こうしたことが象徴するように現在ベトナムでは、国の「現代化」と「工業化」を果たすべく、より高度な人材を養成するため高等教育が重要視されている。近年では、ベトナム政府は2017年に…

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