国境を超えた教育形態の多様化へ ―マレーシアの高等教育改革―

コロナ禍により学生移動を前提に論じられてきた高等教育改革も大きな影響を受けている。本稿では、マレーシアの高等教育の国際化の再構築から学ぶべき視点を探る。

国際化「再構築」の3つの観点

杉村 美紀

杉村 美紀(すぎむら・みき)

博士(教育学)。上智大学総合人間科学部教育学科教授・グローバル化推進担当副学長。専門は比較教育学・国際教育学。現在、日本ユネスコ国内委員会委員、日本比較教育学会会長、日本国際連合協会理事、東芝国際交流財団理事等をつとめる。共編著に『日本で出会う世界 ― 国内で実現する短期集中型国際研修』(2020)等。

高等教育の国際化により、世界的規模で展開されていた留学生移動は、新型コロナウイルス COVID-19によるパンデミックにより停止を余儀なくされた。そればかりか、留学生移動の停滞は、オンライン/オンデマンド教育の急速な導入と普及を促す一方で、大学運営の在り方にも大きな影響を及ぼしている。

こうした状況の中、各大学では、対面授業が実施できない中で、いかに学生の日々の学びを保障するかが問題になっている。同時にこれまで海外渡航を軸に考えられてきた異文化の下での学びや研究の機会をどのように確保するかということも課題である。このことは、高等教育にとって、国際化の「再考」というよりも…

(※全文:2412文字 画像:あり)

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