【5月22日 経済財政諮問会議詳報】成長投資に新たな別枠、スタートアップ創出パッケージも始動
政府は5月22日、総理大臣官邸で令和8年第7回経済財政諮問会議を開催した。成長力強化と社会保障の2議題について、高市早苗内閣総理大臣をはじめとする閣僚と民間議員が活発な意見交換を行った。内閣府は議事要旨および城内実内閣府特命担当大臣(経済財政政策、規制改革)・日本成長戦略担当大臣の記者会見要旨を公式ウェブサイトで公開している。
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成長力強化に向けた新たな投資枠と基金ルールの見直し
成長力強化の議題では、民間議員から危機管理投資や成長投資に関する「新たな投資枠」の具体化が提案された。これを受けて高市総理は、企業が長期的な投資を行いやすくするため、予算の予見可能性を確保することが重要との見解を示した。前年度の予算措置額にとらわれずに必要な金額を確保できるよう、通常の歳出とは別に新たな投資枠を設け、予算編成過程で実効的な予算措置につなげる仕組みを構築する方針を明らかにした。これにより、官民投資ロードマップの着実な実行に必要な規模と期間の確保を目指す。
あわせて、これまで「予算措置は原則3年以内」とされていた基金ルールについても見直しが行われる。成果管理の徹底を前提に現行ルールを適用しない方向性も含めて検討を進め、柔軟で効率的な資金管理の実現を目指すとした。
城内大臣は記者会見の質疑応答で、潜在成長率の引き上げに向けた国内投資のテコ入れについて言及した。マーケットからの信認を損なうような野放図な財政政策はとらず、「責任ある積極財政」の考え方のもとで政府債務残高対GDP比を安定的に引き下げ、財政の持続可能性を確保していく考えを明らかにした。
スタートアップ総力創出パッケージの取りまとめ
同会見では、日本成長戦略会議の傘下に設置されたスタートアップ政策推進分科会が5月20日に取りまとめた「スタートアップ総力創出パッケージ~イノベーションを生み出す、育てる、実装する~」が紹介された。政府が主導してスタートアップ政策を抜本的に強化するためのパッケージで、①スタートアップのスケールアップ、②ディープテック・スタートアップへの支援、③地域の経済社会を担うスタートアップの創出・育成の3本柱で構成される。
とりわけ、SBIR制度を抜本的に強化し、従来の研究開発支援を超えて本格的な調達につなげる試験導入の新たな枠組みを創設した点が重要な成果として位置づけられた。関係省庁が連携してスタートアップからの政府調達を強力に推進するほか、防衛調達の強化といったデュアルユース・スタートアップのエコシステム形成にも取り組む計画だ。
社会保障改革と現役世代の負担軽減
社会保障の議題では、強い経済と持続可能な財政、質の高い全世代型社会保障を同時に実現するための改革が議論された。民間議員からは、現役世代の保険料率の上昇を止めて引き下げていく方針を実現するため、マクロ的な社会保障負担率の目標検討を進めるべきとの提案がなされた。令和8年度中に改革の具体化と工程の明確化を図り、順次実施していくことが求められている。
高市総理はこれらを踏まえ、全世代型社会保障改革担当大臣を中心に厚生労働大臣・財務大臣と連携しながら検討を深めるよう指示した。真に公平な応能負担を実現するための医療費窓口負担の見直しや、年齢に関わらず働き続けることができる社会を目指した高齢者の定義の見直しなど、具体的な給付と負担の見直しについて今年度中の具体化を目指す。
労働供給制約への対応と生産性の向上
深刻化する労働供給制約への対応策として、医療・介護分野におけるDX、AI、ロボティクスの活用を通じた生産性の向上とサービスの質の向上が打ち出された。健康増進や疾病予防、早期発見などを一体的に進める「攻めの予防医療」を推進し、持続可能な提供体制への転換を図る構えだ。
同会議に臨時議員として出席した上野賢一郎厚生労働大臣は提出資料をもとに、高齢者人口がピークを迎える2040年頃に向けて、地域に不可欠な質の高いサービスが限られた人員でも持続的に提供できるよう、実効的な担い手確保を進める方針を述べた。業務改革と継続的な処遇改善、デジタル・AI時代に対応した人材の養成を軸とした投資戦略を2027年度から集中的に展開していく予定としている。
また、規制改革推進会議では5月26日にGX・サステナビリティサブワーキング・グループを開催し、次世代型太陽電池の普及促進について議論が行われた。会議の模様はYouTubeの「規制改革チャンネル」で配信されている。