新型コロナウイルスで最貧困層の子どもに壊滅的な影響 ユニセフ

公益財団法人日本ユニセフ協会は5月20日、ユニセフ(国連児童基金)を含む36の国際機関の共同報告書『新型コロナウイルスが世界をどう変えたか:統計的展望』の内容を発表した。各機関がそれぞれに取り組む分野を扱う中で、ユニセフは子どもの生活に焦点を当て論じている。

ユニセフの報告書によると、新型コロナウイルス感染症は、特に最貧困層の子どもたちの生活に壊滅的な影響を及ぼしている。以前から置き去りにされていた子どもたちは、命を守る予防接種を逃したり、暴力のリスクが高まったり、教育を中断したりすることによって、パンデミックの影響の矢面に立たされるとしている。

例えば、サハラ以南のアフリカの人口の約4分の3は、新型コロナウイルスの基本的な予防策である手洗いをするための設備が自宅にない。石けんと水で手を洗う設備が自宅にない人は世界で30億人にのぼり、多くの人にとって、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ最も基本的で効果的な対策は手の届かないところにある。

また、新型コロナウイルス対策のため学校は休校になり、テレビでの遠隔授業やオンライン授業などが一部の国で代替手段として展開されている。しかし、インターネットにアクセスできる世帯は世界全体では半数未満だ。都市部では73%の世帯がテレビを保有しているが、農村部での保有率は38%に留まる。パンデミックは教育の危機をさらに深め、最も厳しい状況の子どもたちを置き去りにするリスクがあるとした。

新型コロナウイルスに関するユニセフの情報は以下を参照。

https://www.unicef.or.jp/kinkyu/coronavirus/

2020.5.21(3)

コートジボワールの小学校でマスクをつけて授業を受ける子どもたち