「AIの1年は10年分」アンソロピック・アモデイ氏が語る企業AI活用 スノーフレイク・サミット2026
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アモデイ氏はまず、AI業界特有の時間感覚について言及した。「AI的には、1年前がまるで10年前のように感じられる」と表現し、進化のスピードの異常さを示した。5年前には生成AIやLLM(大規模言語モデル)を日常業務に活用する企業はほぼ存在しなかったが、現在は金融・法律・医療をはじめあらゆる業界でAIが経営の基盤戦略として位置づけられるようになったと指摘。その背景として、モデル性能の急速な向上を挙げた。
AIモデルの進化を支える「スケーリング則」─コンピュータ資源とデータ量を増やすほどモデルの能力が向上するという法則─についても詳しく語った。アモデイ氏は「毎月30%ずつ改善しているものが2年後にどうなるか、人間が直感的に理解するのは難しい」と述べ、アンソロピック社内でグラフに描いてモデルの将来を予測しても、その能力の伸びを頭で実感するのは自分たちにとっても容易ではないと明かした。3カ月・6カ月・1年単位で能力が飛躍的に伸び続けており、「ヴァイブコーディング(vibe coding)」のような言葉が去年登場して今はもう過去のものになりつつあるほどの速度だとも触れた。企業への助言として「今日のモデルの能力で設計することも必要だが、それだけではいけない。自社が本当に実現したい最大の姿を描き、そこから逆算してAI活用を構想してほしい。進化は続く」と呼びかけた。
スピードと安全性のバランスについては、「信頼はアクセルだ」という考え方を示した。企業のCEOから「Claudeにもっとハルシネーション(誤った情報の生成)をしてほしい」と言われたことは一度もないと明言し、信頼を積み上げることが事業の加速に直結すると説いた。安全性への投資とビジネスの成長は対立しない。この考え方こそが、スノーフレイクとアンソロピックの連携の根底にある、とも語った。
両社のパートナーシップについてアモデイ氏は、スノーフレイク合流以前から協業関係があったと明かした。共通点として顧客への誠実さ、責任ある開発姿勢、そして謙虚さを挙げ、モデルのプレビュー段階からフィードバックを共有するエンジニアリングレベルでの緊密な連携が両社の信頼関係を支えていると話した。
パートナーシップの具体的な成果例として挙げたのが、決済企業Block, Inc.との取り組みだ。Block, Inc.はもともと大規模なデータを扱う企業であり、エンジニアリング力の高さでも知られる。スノーフレイクが同社のデータプラットフォーム基盤を担い、アンソロピックがClaude Codeを提供してエンジニアリングチームの開発作業を支援したことで、これまでアクセスできなかったリアルタイムの不正検知や決済処理に関するあらゆる分析結果を得られるようになったという。
アンソロピックの成長にも触れ、同氏の発言によれば創業時の約15人から登壇時点で約3,500人規模に拡大しており、モデル・製品・エンジニアリング・事業開発・組織体制のすべてをスケールさせてきたと振り返った。急成長を支えたのは「AIを責任ある形で、安全に、信頼を中心に開発する」という価値観と文化への立ち返りだと強調。自社もClaudeを社内ツールや業務システムに統合している最中であり、顧客と同じ変化を経験しているからこそ共感を持って支援できると語った。
なお、本基調講演にはアクセンチュアの会長兼最高経営責任者(CEO)ジュリー・スウィート氏、チーフ・ストラテジー・アンド・サービシズ・オフィサーのマニッシュ・シャルマ氏、サノフィ(Sanofi)のエグゼクティブ・バイスプレジデント兼チーフ・デジタル・オフィサーのエマニュエル・フレヌアール氏も登壇し、各社でのAI活用と組織変革の実例を紹介した。新製品として、ナレッジワーカー向けパーソナルエージェントの「Snowflake CoWork」(旧称「Snowflake Intelligence」からのリブランド)と、AIコーディングエージェントの「Cortex Code(CoCo)」が新たに紹介された。
