こども家庭庁、相談支援のこども家庭センター一元化議論 令和8年度行政事業レビュー公開プロセス
2026年6月8日、こども家庭庁はこども家庭庁長官官房第2会議室で行政事業レビュー公開プロセスを実施した。同日は「各種相談支援のこども家庭センターへの一元化」「障害児入所給付費等負担金等」「地域少子化対策強化事業」「単発のイベント・広報啓発の見直し」の4事業を審議。冒頭の枠では外部有識者6名を交えてこども家庭センターへの一元化について公開の場で議論が行われた。
こども家庭センター制度の背景
こども家庭センターは2022年の児童福祉法改正によって創設された機関で、地域における子ども・家庭支援の中核を担うことを目的としている。従来は別々に機能していた児童福祉と母子保健の二つの役割を一体的に運営し、各家庭の困難やニーズを早期に把握してサポートプランを作成、必要な支援につなぐ役割を果たす。2024年4月の施行以降、こども家庭庁は2026年度中の全市町村設置を目標に設置促進を進めている。
補助金の一本化で使いにくさ解消
今回の公開プロセスで議論の中心となったのは、市町村向け補助事業の統合による支援体制の整備促進だ。現行の補助金は都道府県向けと市町村向けが混在しており、補助対象や事業目的が分かりにくいという声が自治体から上がっていた。
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こうした課題に対応するため、こども家庭庁はこども家庭センターの相談機能強化に活用できる10の補助メニューを新たに一本化する案を提示した。統合によって自治体にとっての分かりやすさが増すとともに、複数のアウトリーチ関連事業を同一の委託先にまとめることで事務経費の効率化も期待されるという。
有識者から執行率低下に懸念 統合だけでは不十分との声も
有識者からは補助金の執行率低下に関する指摘が相次いだ。担当局によると執行率は2023年度に73.6%だったものが2024年度に52.1%、2025年度も55.1%にとどまっており、補助金の分かりにくさだけでなく、各自治体が包括支援体制の全体像を描ききれていない点も要因として挙げた。三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社コンセンサス・デザイン室長の西尾真治氏は「補助金の統合よりも、どの補助金をどう使うかという指導やアドバイスの方がより重要ではないか」と問題提起した。担当局は補助金の一本化と並行して、個別自治体への伴走支援も実施していると説明した上で、両輪で取り組む方針を示した。
こども家庭センターが「司令塔機能を果たせていない」という指摘も出た。センター自体はできたものの、地域の関係機関との信頼関係構築やコーディネートがこれからの段階にある自治体が多く、担当局は設立から間もない現状を踏まえつつ、モデル的な支援体制の姿を人口規模別に示すことで各自治体が具体的なイメージを持てるようにしたいと述べた。
成果指標の設計も課題に
東京大学社会科学研究所教授の松村敏弘氏は、執行率の改善が最終的なアウトカムである虐待による死亡事例数の減少に実際につながっているかを検証する必要性を強調した。「死亡事例数は多くの要因に左右されるため直接の成果指標とするのは難しいが、だからこそ中間アウトカムがそれに貢献していると示す努力が今から必要だ」と述べ、定量的な因果関係の整理を求めた。太陽有限責任監査法人代表社員の石井雅也氏も、補助金を統合した後にどれだけの予算を投じてどういう成果が得られたかを追跡できる客観的な指標を設計するよう求めた。
取りまとめ 司令塔機能の強化とモデル事業の実施を
議論を踏まえ、取りまとめ役の山下・柘・二村法律事務所弁護士の永井隆光氏は6項目にわたる取りまとめコメントを提示した。中核となるのは、こども家庭センターの司令塔機能を強化して相談支援を一元的に企画管理すること、人口規模の異なる複数自治体でのモデル事業実施を通じて包括的支援体制の最適な形を整理することの二点だ。加えて、地方自治体との丁寧な意見交換を並行して進めること、補助金統合の効果を検証できる定量的指標を検討すること、そして虐待対応における地域間連携の視点を取り込むことも明記された。
こども家庭庁は今回の議論を踏まえ、2026年度の概算要求に向けて補助金統合の具体化を進める。子ども・子育て支援法の法的整理が必要な事業については引き続き別途検討を行いながら、最終的にはすべての関連施策をこども家庭センターへ一元化していく方針だ。
当日の資料や動画、議事録など詳細はこども家庭庁公式サイトで確認できる。