すべての人に起業家精神を 地域一体で「生きる力」を育む
起業支援の制度はあっても、佐賀県にはそれを活用して挑戦するプレーヤーの絶対数が少ない。そうした危機感の下に立ち上げられた鳳雛塾は、ケースメソッドで学ぶ大学生・社会人向けのビジネススクールや、小学生向けのビジネス体験授業などを展開。地域で活躍する多数の人材を輩出している。
支援制度を機能させるには、
挑戦する人の育成が不可欠
飯盛 義徳
横尾 敏史
すべての人に起業家精神を──。佐賀市に拠点を置き、小学生から社会人まで多様な人たちの起業家精神を育む事業を展開する鳳雛(ほうすう)塾は、1999年に設立されて以来、社会人や大学生を対象とするビジネススクール事業において600名以上の卒塾生を輩出。東証一部上場企業の創業者も生まれている。OBを含めた塾生間のネットワークが築かれ、お互いに刺激を与え合い、多数の活動や事業が立ち上がってきた。また、小学生向けキャリア教育事業には延べ5000名以上が参加している。
鳳雛塾の理事長であり、慶應義塾大学総合政策学部教授である飯盛義徳氏は、「鳳雛とは鳳凰の雛を指し、『未来の英雄』という意味があります。人材育成を通して地域活性化に貢献したいという関係者の思いが、この名に込められています」と語る。
佐賀県では1990年以降、長引く不況の下で県内企業の苦境が続いてきた。その打開策として、ベンチャー創出のための助成やインキュベーション施設などの支援制度が整備されてきたが、飯盛氏はそれだけでは足りないと感じていた。
「支援制度はあるものの、佐賀県にはそれを活用して挑戦するプレーヤーの絶対数が少なく、志を同じくする人々のコミュニティも形成されていませんでした。その結果、制度の利活用も盛り上がりに欠け、せっかくの制度が経済活性化の起爆剤になり得ていないという悪循環に陥っていました」(飯盛氏)
飯盛氏は佐賀市の生まれだが、長崎県の高校に進学し、大学時代は東京で過ごした。その後、松下電器産業(現・パナソニック)に勤務し、慶應義塾大学ビジネススクールで修士号を取得した後、…
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