名簿・設備で見えた「学校の一員」としての扱い 特別支援学級在籍の児童生徒、学校間で温度差も

    特定非営利活動法人School Voice Projectは2026年6月20日、全国の教職員を対象に実施したアンケートの結果を公開した。通常級における特別支援学級在籍の児童生徒の扱いについて尋ねたもので、名簿への記載状況や教室設備の整備水準、現場が抱える課題が浮き彫りになった。

    名簿の記載、種類によって状況異なる

    調査は2026年1月16日から3月23日にかけてインターネット上で実施し、全国の小学校から高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員59人から回答を得た。

    名簿への記載状況は、種類によって大きく異なることがわかった。「学級名簿」では、特別支援学級在籍の児童生徒が他の児童生徒と同様に載っていると答えた割合が68%と最も高く、「健康観察簿」では61%が同様の扱いと回答した。これら2種類の名簿については、小学校・中学校ともに6割から7割以上が同様の掲載としており、校種間の差は小さかった。

    一方、「出席簿」については、51%が「載っていない」と答え、3種類の中で唯一、未記載が過半数を占めた。校種別に見ると、小学校では「載っていない」が62%と最多だったのに対し、中学校では「他の児童生徒と同様に載っている」が52%と最多となり、校種間での開きが確認された。

    ロッカーは「5校に1校以上」が未設置

    教室設備については、通常級に特別支援学級の児童生徒の机が設置されている学校が全体の9割以上を占めた。一方、ロッカーについてはいずれの校種でも「ある」との回答が約8割にとどまり、机と比べて整備が遅れている実態が判明した。この数値は、机では14校に1校、ロッカーでは5校に1校以上の割合で、通常級に特別支援学級の児童生徒向けの設備がないことを示している。

    現場内の温度差と、公簿管理上の課題

    自由記述では、インクルーシブ教育の理念を重視する立場から「名簿に載っていないことは区別ではなく差別にあたる」との意見が寄せられた。一方で、「公簿の管理上、一人の児童に対して複数の出席番号が生じることはリスクが高い」として、事務処理上の都合から末尾掲載を支持する声も見られた。同一校内でも「担任によって対応に温度差がある」「学年ごとに対応が異なりわかりにくい」と不統一を課題として挙げる意見も複数あった。

    名簿と設備の両方が整備されている場合でも、公簿と子どもたちの目に触れる名簿で出席番号が異なることで「2種類の番号を頭に入れて処理しなければならない」という煩雑さを指摘する声も上がった。こうした二重管理の負担を軽減するため、子どもの目に触れる名簿は通常級に統合しつつ、公簿上では特別支援学級在籍の児童生徒の番号を欠番として処理するという運用を実践している学校もある。転校等による欠番は従来から存在しており、実務上の問題が生じにくいことから、同団体はこの方法がインクルーシブ教育の理念と現場の実務上の必要性を両立させる実用的な一案になり得ると指摘している。

    文科省も「同じ学校の子どもという意識の醸成」を求める

    文部科学省は「障害のある子供の教育支援の手引 ~子供たち一人一人の教育的ニーズを踏まえた学びの充実に向けて~」(令和3年6月30日)において、特別支援学級の子どもが通常の学級にも在籍し、学級活動や給食を可能な限り共に行うことの重要性を示している。また「通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の在り方に関する検討会議報告」(令和5年3月13日)でも、障害のある子どもと障害のない子どもが可能な限り同じ場で共に学ぶための環境整備を求めている。

    こうした国の方針に照らすと、交流や共同学習の場で通常級の児童生徒と扱いが過度に異なれば、かえって学級や所属の違いを意識させることにもなりかねない。理念の実現には、インクルーシブ教育への深い理解を土台にしながら、現場が抱える実務上・物理上の課題を一つひとつ解決していくことが求められる。