いなべ市、対話型生成AIを全小中学校で導入
コニカミノルタジャパン株式会社は2026年7月28日、学校教育向けソリューション「tomoLinks(トモリンクス)」の対話型生成AIサービス「チャッともシンク」が三重県いなべ市で採用されたと発表した。2026年7月から、市内の公立小学校11校と中学校4校、合わせて15校で利用が始まっている。
学校現場が抱える生成AIの課題
生成AIの社会実装が学校現場にも広がる一方、安全性の確保や個人情報の保護、情報の正確性への対応が課題となってきた。文部科学省は「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン」で、安全性を踏まえた適正利用や情報セキュリティの確保、個人情報・著作権の保護などを求めており、児童生徒がAIの特性を理解した上で適切に使いこなす力を養う環境づくりは、教育委員会にとって重要な検討課題となっている。
こうした状況を踏まえ、「チャッともシンク」は文部科学省の同ガイドラインに沿って開発された。年齢による利用制限を設けず、児童生徒と教職員のどちらもが安心して使える設計とした点が特徴だ。いなべ市は、教職員と児童生徒の双方がAIへの理解を深め、学びの中で適切に活用していくための基盤として導入を決めた。
採用までの経緯と評価ポイント
いなべ市はこれまで、生成AIを正しく理解し目的に応じて使いこなす力を、児童生徒に育むべき資質・能力の一つと位置づけ、学習環境の整備を検討してきた。今回は学習活動や校務での活用可能性に加え、安全性や現場での運用のしやすさなどを総合的に評価した上で、市内全小中学校への導入を決定した。教職員が授業や学習活動に取り入れやすい設計になっている点も、評価を後押ししたという。
導入にあたっていなべ市が優先しているのは、教職員がまずサービスの操作に慣れ、AIリテラシーと実践的な活用スキルを高めることだ。その基盤を築いた上で児童生徒への展開を段階的に進め、各学校の実情に応じて授業や探究的な学習、考えの整理、表現活動などの場面での活用を検討していく。
いなべ市役所企画部情報課の担当者は、まず教職員のAIリテラシー向上を図って校務の効率化につなげ、その後の授業活用を通じて児童生徒のAI理解と活用力を育てていく考えを示す。教育のデジタル化を市全体で進め、児童生徒と教職員双方の成長を後押ししたい考えだという。いなべ市教育委員会事務局学校教育課の担当者も、教職員がまず安全に生成AIを学べる環境の整備を急務と捉え、「チャッともシンク」の採用を決めたと説明する。今後は教職員から使用例や使用感を聞き取りながら、市内での活用実績を積み重ねていく方針だ。