理研が新スパコンの名称を「理究」に決定

理化学研究所(以下、理研)は2026年6月19日、AI(人工知能)を活用した科学研究の推進を目的に整備中のスーパーコンピュータの名称を「理究(りきゅう)」と決定したと発表した。英語表記は「RIKYU」となる。

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「理」を「究」める 名称に込められた理念

「理究」という名には、自然現象の背後にある原理・法則である「理」を、AIとハイパフォーマンスコンピューティングを駆使して探り「究」める、という理念が込められている。基礎科学から応用研究まで幅広い領域を支える計算基盤を目指すという姿勢を、名称そのものに表現した。また、茶人・千利休(せんのりきゅう)の「利休」と読みが同じで親しみやすい点も選定の理由に挙げられている。

名称は2025年11月20日から12月22日にかけて一般公募が実施され、全国から1,019件の応募が集まった。重複送付などを除いた有効候補数は856件にのぼる。理研内外の委員で構成する「AI for Science開発用スーパーコンピュータ名称検討委員会」が候補を精査し、科学研究基盤モデル開発プログラム(AGIS)に参画する研究者らの意見も踏まえたうえで「理究」が選ばれた。この名称を応募した河合政蔵氏には記念品が贈られる。

「守・破・離」に科学の未来を重ねる

千利休の教えを伝えるとされる『利休道歌』には、「守・破・離(しゅはり)」の語源とされる一節がある。「規矩(きく)作法 守り尽くして 破るとも 離るるとても 本を忘るな」という和歌だ。理研はこの精神を「理究」の名に重ねて解釈している。師から教わった作法を「守る」段階は、既存の知識をAIが広範に機械学習することに相当する。身につけた知識を他の視点と照らし合わせて「破る」段階は、学習済みのAIが研究に主体的に加わり新たな知を切り拓くことを指す。そして既存の型から「離れる」段階は、AI for Scienceの探究の広がりによって人類とAIが科学の新領域を共に開拓していく未来を表す。こうした思想を土台に、「離れながらも科学という本分を忘れない」という願いが「理究」という名に託されている。

エクサスケール級の演算性能 「富岳」との連携で科学研究を加速

「理究」は、兵庫県神戸市ポートアイランドの理研神戸地区に導入される計算機システムで、AIの学習や推論で多用される16ビット・8ビットの浮動小数点演算において、エクサスケール級、すなわち1秒間に10の18乗回(100京回以上)という演算性能を誇る。NVIDIA GB200 NVL4を搭載した計算ノード400台(NVIDIA Blackwell GPU 1,600基)で構成され、ノード間はNVIDIA Quantum-X800 InfiniBandによって最大3.2Tbps(1兆ビット毎秒)の通信速度で接続される。倍精度浮動小数点演算(FP64)では64.16PFLOPS(ペタフロップス)以上、8ビット浮動小数点演算(FP8)では15.539EFLOPS(エクサフロップス)以上の性能を有する。

AI向けの超並列計算に強みを持つ「理究」と、大規模科学計算で実績を持つスーパーコンピュータ「富岳」が連携することで、高度な科学研究基盤モデルの開発・活用に大きく貢献することが期待されている。現在、7月の運用開始に向けて調整が進められており、国内外のAI for Science研究に幅広く活用できるよう利用体制の整備も進む予定だ。