富山の産官学で実践型リカレント教育 大都市の人材が移住し、地域をデザイン

実践型リカレントプログラム「富山“Re-Design”ラボ」始動から3年が経つ。外部人材を協力研究員として受け入れる富山大学教授の岸本壽生氏、協力研究員として参画した嶋尾かの子氏、事務局を担う協同組合全国企業振興センターの松田耕司氏に、これまでの成果と今後の抱負を聞いた。

働きながら実践的に学ぶ
産官学金で地域を“Re-Design”

岸本 寿生

岸本 寿生

富山大学 地域連携推進機構 地域連携戦略室
室長/経済学部 教授
東京都出身。社団法人日本能率協会を経て、1994年4月より富山大学経済学部に奉職。専門は国際ビジネス論、貿易論。2017年4月から2021年3月まで就職・キャリア支援センター副センター長を務め、2021年4月からは地域連携戦略室室長を兼任。近年は、「地方企業のグローバル戦略」を研究テーマとしている。


嶋尾 かの子

嶋尾 かの子

富山大学 協力研究員
大学講師(異文化理解)から育休を経て、ブランドコンサルティング会社でディレクター(ブランド構築研究開発)、その後外資系コンサルティングファームにて人事コンサルタントとして勤務。現在は独立して様々な企業の人事コンサルティングや官公庁主催の就職に向けた講演・セミナーを提供している。


松田 耕司

松田 耕司

協同組合全国企業振興センター
金沢大学大学院を修了後、建設コンサルタント会社にて地域活性化業務に従事。Uターンを機に、現在は異業種の事業協同組合にてプログラムの運営に携わり、地域企業と外部人材が共創できる環境づくりを通じ地域活性化に取り組んでいる。

──「富山“Re-Design”ラボ」の狙いや特色、発足の背景を教えてください。

岸本 「富山“Re-Design”ラボ」の大きな目的は、富山県の未来を担う企業と自身のキャリアを“Re-Design”し、地域企業の持続的な価値創造と外部中核人材による地域活性化を図ることです。そのため、大都市圏の人材を呼び込み、県内企業、大学、自治体が協働して「働きながら学ぶ場」を創出しています。

背景にあるのは、文部科学省の「大学による地方創生人材教育プログラム構築事業(COC+R)」として、金沢大学、信州大学とともに2020年度から進めてきた、産学連携によるトップ・リーダー人材の育成を目指す「ENGINEプログラム」です。両大学の取り組みにも刺激を受け、本学らしいリカレント教育も独自に発展させていこうと、2022年度に実践型リカレントプログラム「富山“Re-Design”ラボ」が生まれました。

本プログラムでは、大都市圏からの人材を富山大学の協力研究員として迎え入れ、同時に未来に向けた変革を進める地元企業で就業していただきます。協力研究員となった方は、6月から11月の半年間、富山に暮らしながら、週4日は受入企業に勤務し、週1日は本学のゼミやプログラムに参加します。受入企業においては、経営課題に向き合い、経営層や従業員とディスカッションしながら、プログラム期間内の取り組み内容を設定して実行していきます。

大学ではゼミ・講義・演習などを通じて、専門領域や地域に対する新たな学びと、受入企業の経営課題解決に向けた助言・アドバイスなどを受けます。プログラム終了時の最終報告会では、自身、企業、地域の“Re-Design”シナリオと、…

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