京都府教育長 「教育環境日本一」に向けて、社会総がかりで取り組む

京都府の教育行政では、重点的・横断的に取り組む課題について、「教育環境日本一プロジェクト」を推進。全国初となるCBTシステムや、京都府の強みである文化を通じた地域教育などを進めている。京都府の取組と展望について、府教育長の前川明範氏に話を聞いた。

「教育環境日本一」に向けて、
5つの重点プロジェクトを推進

前川 明範

前川 明範

京都府教育委員会 教育長
関西学院大学文学部卒。京都府立山城高校副校長、京都府立洛北高校校長 兼 同高校附属中学校長、京都府教育委員会事務局 高校教育課長、教育監、教育次長、京都府総合教育センター所長などを歴任し、2022年6月に京都府教育委員会教育長に就任。

──前川教育長は長年にわたり学校現場を経験し、2022年6月に京都府教育委員会教育長に就任されました。ご自身が考える教育において大切なこと、これから求められる人材像や、あるべき教育の在り方などについて、どのように考えられていますか。

社会は大きく変化し、学ぶことや働くことなど生き方に関する人々の価値観も大きく変化しています。高度経済成長期には、社会的に有名な大学に進学して大企業に就職することが「幸せ」の象徴とされていましたが、現在では価値観が多様化し、一人一人が自分なりの「幸せ」を描き、追求できることが大切になってきています。

こうした時代に求められるのは、一人一人の可能性を最大限に引き出すための教育です。多様な子どもたち一人一人を大切にし、誰一人取り残すことなく個性や能力を尊重し、すべての子どもたちが夢や希望を持てるような学びを展開しなければならないと考えています。

本府の教育の基本理念として、「めまぐるしく変化していく社会において、変化を前向きにとらえて主体的に行動し、よりよい社会と幸福な人生を創り出せる人」を「目指す人間像」として定め、「はぐくみたい力」として、主体的に学び考える力、多様な人とつながる力、新たな価値を生み出す力の3つを掲げており、そうした力を育成していくことが重要であると考えています。

子どもたちを取り巻く環境や価値観が多様化する中で、画一的な学校教育から脱却し、誰もが将来の社会的自立を見据えて学べるように、…

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