「勉強がはかどる」ノートを開発 感性を科学する千葉大発ベンチャー

千葉大学工学部初のベンチャーとして創業した(株)BBSTONEデザイン心理学研究所。デザイン心理学という新しい学問領域を事業の核として、数々のプロダクト賞を受賞した「ほぼ日ノオト」など、幅広い領域の課題解決に挑む代表の日比野好恵氏に、事業にかける思いと今後のビジョンを聞いた。

視覚ストレスを軽減するノート
秘密は罫線のわずかな隙間

日比野 好惠

日比野 好惠

株式会社BBSTONEデザイン心理学研究所代表
福岡県生まれ、横浜国立大学教育学部心理学科卒業。外資系企業その他を経て、「技術の進歩が弱者を置き去りにしてはいないか」との思いを持ち、(株)BBSTONEデザイン心理学研究所を設立。2011年3月、千葉大学工学部初のベンチャーとして認定される。大学の研究を世の中に還元し、ビジネスとして息を吹き込むという新たなロールモデルを構築。2015年、日本政策投資銀行主催第4回女性起業家コンペティションにて優秀賞受賞。2016年、富士通アクセラレータプログラム準優勝。2018年、第34回ベンチャークラブちばビジネスコンテスト大賞受賞。

「ノートを変えたら子どもが勉強に集中できるようになった」。BB STONEデザイン心理学研究所の日比野氏のもとには、こうした喜びの声がしばしば届く。そのノートとは、同社とほぼ日手帳で知られる「ほぼ日」がタッグを組み、2021年11月から発売開始した「ほぼ日ノオト」だ。

セミB5判の「ほぼ日ノオト」は、一見すると一般的なノートと変わらないが、中を開くと特徴的な罫線が目に入る。7ミリ幅の横罫には一定間隔ごとにわずかな隙間があり、そこに点のようなごく短い縦線が入っている。そのおかげで、実際にはない縦線を認識でき、文頭を揃えたり、図を描いたりするにも使い勝手がいい。人間の「錯視」を応用した仕組みだ。「従来のノート罫線は、実は目がチカチカし、視覚ストレスが大きいことがわかりました。人によっては、うまくメモを取れない人もいるほどです」。日比野氏は、従来型ノートの意外な「弊害」を指摘する。隙間のある罫線が、ノートを開いた時の威圧感や、…

(※全文:2387文字 画像:あり)

全文を読むには有料プランへのご登録が必要です。