【7月17日松本洋平文科大臣会見】通信制高校の質確保へ改正法成立、保護者負担軽減PTも始動

松本洋平文部科学大臣は2026年7月17日の閣議後記者会見で、学校教育に関わる保護者の負担軽減策、ノーベル賞受賞者・利根川進氏の逝去への哀悼、佐渡金山を巡るユネスコの改善勧告、通信制高校の質確保に向けた改正法の意義、そして日本原子力研究開発機構(JAEA)の次世代拠点整備の検討状況について発言した。

保護者負担軽減へ省内PT始動

文部科学省は同日、学校教育に関わる保護者の負担軽減を進めるプロジェクトチームを初等中等教育局に新設したと発表した。同省はこれまでも就学援助制度や高校生等奨学給付金などを通じて教育費負担の軽減に取り組んできたが、今回は自治体や学校が独自に進めている工夫の事例を集約し、全国へ発信する体制を整えた点が特徴だ。

Photo by hamazou/ Adobe Stock

2026年7月17日付の事務連絡「学校における補助教材及び学用品等に係る保護者等の負担軽減策の事例周知について」では、算数セットや彫刻刀、裁縫セットといった従来は保護者が毎年購入していた教材を学校の備品として整備する取り組みや、制服・教材の選定方法を見直して価格を抑える工夫などが紹介されている。松本大臣は、こうした取り組みが進むことで学校側の徴収金管理の負担も軽くなり、働き方改革にもつながっているという現場の声を紹介したうえで、PTAなど地域の教育関係者にも一段の協力を呼びかけた。

利根川進氏への哀悼を表明

会見ではまた、1987年に日本人として初めてノーベル生理学・医学賞を受賞した利根川進氏の逝去についても言及があった。利根川氏は2026年7月11日、86歳で死去した。免疫細胞が遺伝子を組み換えることで多様な抗体を生み出す仕組みを解明し、現代免疫学の礎を築いた研究者として知られる。その後は理化学研究所脳科学総合研究センター長を務め、記憶のメカニズム解明など脳科学の分野でも大きな業績を残した。松本大臣は、世界を牽引してきた研究リーダーへの哀悼の意を示すとともに、次代を担う若手研究者が希望を持って研究に打ち込めるよう、教育研究環境の充実に努める考えを述べた。

佐渡金山にユネスコが改善を勧告

記者からの質問では、新潟県の世界遺産「佐渡島の金山」の保全状況が取り上げられた。ユネスコの世界遺産委員会は2026年7月15日、同遺産の保全状況に関する決議案をホームページに公表した。決議案は、採掘が行われた全期間を通じた歴史の説明や展示について一定の進展を認めつつも、内容がなお十分ではないとして、現地での説明強化を日本に求めている。この決議案は、7月19日から韓国・釜山で開催される第48回世界遺産委員会で審議される予定だ。松本大臣は、木原稔内閣官房長官が前日の会見で示した見解を踏まえ、政府としてはまず委員会での審議を注視する必要があるとの立場を説明した。そのうえで、日本側の立場について関係者へ丁寧に説明する対応を、外務省などとも連携しながら進めていく考えを示した。

通信制高校の質確保へ改正法

教育分野では他にも、定時制・通信制高校の質の確保を目的とした「高等学校の定時制教育及び通信教育振興法」の改正法が2026年7月15日、参議院本会議で可決・成立したことが話題になった。同法は勤労青年への教育機会確保を目的に1953年に制定されたが、抜本的な改正は今回が初めてとなる。近年は通信制高校に通う生徒が高校生全体の1割近くにまで増加する一方、学習指導要領を踏まえない不適切な指導も一部で指摘されており、改正法はこうした課題に対応する狙いがある。改正法第9条では、通信教育の適正な実施と運営の確保に向けて文部科学大臣が基本的な指針を策定することが定められた。松本大臣は、通信制高校の管理運営や監督指導・助言に関する事項、広域通信制高校を巡る自治体間の連携協力などを指針に盛り込む方針を示し、有識者の意見を聞きながら速やかな策定を進める考えを述べた。

JAEA次世代拠点整備を検討

科学技術分野では、日本原子力研究開発機構(JAEA)による次世代中核機能拠点の整備構想が取り上げられた。今週開催された原子力科学技術委員会原子力研究開発・基盤・人材作業部会において、JAEAから同機構の機能強化に向けた考え方が報告されたという。この構想は、2026年7月14日に閣議決定された「統合イノベーション戦略2026」で、次世代革新炉の社会実装や原子力人材の育成に向けたJAEAの機能強化が盛り込まれたことを踏まえたものだ。松本大臣は、拠点の整備により産学官連携のハブ機能の向上や、既存の多様な試験設備との相乗効果による技術実証の加速が期待されるとしたうえで、作業部会の報告を踏まえて予算要求に向けた具体的な検討を進める方針を明らかにした。