【6月19日松本洋平文部科学大臣会見】レコード演奏・伝達権が国会で成立、名大祭の自衛隊出展中止には「誠に残念」

6月19日、松本洋平文部科学大臣は閣議後記者会見に臨み、店舗のBGMなど公の場で楽曲が使用された際に歌手や演奏家にも使用料が支払われる「レコード演奏・伝達権」を創設する改正著作権法が6月17日に成立したと報告した。

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あわせて、28年ぶりに連続ドラマとして復活するフジテレビ系「GTO」とのタイアップを通じた教職の魅力発信、全道府県への拡大が見通されるスクールロイヤーの配置、18歳人口の急減を見据えた大学の規模適正化、沖縄県石垣市の中学校で行われた海上自衛隊による南極の氷を使った理科の授業、名古屋大学の学園祭「名大祭」における自衛隊出展中止問題、大学病院での医療用RI廃棄物の保管対応についても見解を示した。

著作権法改正によりレコード演奏・伝達権が創設

商業施設や飲食店などで流れるBGMの使用料を歌手やレコード会社が受け取れるようにするレコード演奏・伝達権を創設する改正著作権法が、6月17日の参議院本会議で可決・成立した。

今回の改正により、音楽CDや配信音源がレストランや店舗などでBGMとして利用された場合に、アーティスト等の実演家やレコード製作者へ適切な対価を還元できる仕組みが新たに導入される。松本洋平文部科学大臣は同日の閣議後記者会見で成立を報告し、この制度は海外では広く導入されているが、日本では未整備だったため、日本のアーティスト等は海外で楽曲が利用されても適切な対価を得ることができないという課題があったと背景を説明した。改正法は公布から3年以内に施行され、今後は文化庁長官が使用料の徴収・分配を行う団体を指定する。松本大臣は国会審議でいただいた指摘を踏まえ、法律の趣旨や内容を広く周知していく考えを示した。

ドラマ「GTO」とタイアップ、教職の魅力発信へ

2026年7月20日からカンテレ・フジテレビ系で放送が始まる連続ドラマ「GTO」は、藤沢とおるによる同名漫画が原作(講談社「週刊少年マガジンKC」刊)で、元暴走族の教師・鬼塚英吉が型破りな行動で生徒や学校の問題に体当たりでぶつかっていく学園ドラマだ。1998年版は全12話の平均視聴率(世帯)が関東地区で28.5%、最終回は35.7%(ビデオリサーチ調べ)を記録した。28年ぶりの連続ドラマ復活となる今作に文部科学省がタイアップすることを、松本大臣が同会見で発表した。

タイアップの一環として文部科学省は「あなたに出会うのを待っている生徒がいる」というキャッチコピーを付したポスターを作成し、全国の高校・大学などに配布する予定だ。松本大臣は「一人一人の生徒と向き合う教師像を踏まえ、教職の魅力を伝え、教職への関心を喚起する機会になると考えている」と述べた。教職を志す人を後押しするだけでなく、現場で働く教職員へのエールにもなればとの思いも込めたとし、今後は高校生・大学生やその保護者を含む幅広い層への発信も関係機関と調整しながら進めていく方針を示した。なお松本大臣自身は初代「GTO」を未視聴と明かし、「放送前に改めて見ようと思っている」と語った。

スクールロイヤー全道府県配置へ 保護者との信頼構築に有効と強調

学校現場に法的助言を行う弁護士スクールロイヤーの自治体への導入が進み、今年中に全道府県に広がる見通しとなったことを受け、記者から「法律の専門家が入ることで学校と保護者の信頼関係が築きにくくなるのではないか」との見方に対する受け止めを問われた。

松本大臣は、子供たちの学びを支えるうえで学校と保護者が連携・協力することの重要性を前置きとして述べた上で、近年は子供や学校が直面する課題が多様化・複雑化しており、スクールロイヤーの関与は教職員の負担軽減のためだけでなく、保護者とのより良い関係を構築する観点からも有効だとの考えを示した。文部科学省が作成した「教育行政に係る法務相談体制構築に向けた手引き」では、短期的な視点ではなく子供の将来的な成長のために、学校が保護者との信頼関係を損なうことなく対応する必要があると周知してきたと説明した。引き続き各教育委員会への手引きの周知を通じて、法務相談体制の構築を促していく考えを述べた。

大学の規模適正化、数値目標の設定には慎重な姿勢

日本維新の会が2040年までに約300校の統合を目安とする提言を大臣に提出したこと、また財務省がかつて「少なくとも約250校程度」との推計を示したことを踏まえ、文部科学省として学校数に関する規模適正化の目安を示す意向があるかどうか問われた。

松本大臣は18歳人口の急減を見据えた大学の規模適正化を「極めて重要な課題」と認識しているとしながらも、大学の規模は多様であり学生数と大学数は単純に比例しないとして、機械的に大学数の数値目標を設定することは難しいとの立場を示した。文部科学省は2026年度から2030年度を第Ⅰ期とする「大学の量的規模適正化総合施策」を講じており、デジタル系分野の人材育成強化、地域の人材育成を地域で協議・実行する仕組みの推進、経営が厳しい大学については金融機関の専門家と連携した経営体力がある段階での円滑な撤退の促進など、複数の施策を総合的に進めていくとした。

石垣市の理科授業で南極の氷を活用、「問題ない」

沖縄県石垣市の中学校で2026年2月、海上自衛隊が提供した「南極の氷」を教材にした理科の授業が行われた。これに対し石垣市議会一般質問で共産党市議が「教育現場で自衛隊の広報が許されるのか」と問題視する発言をしたことが記者から紹介され、文部科学省としての見解を問われた。

石垣市教育委員会の翁長致純教育部長は「有益な教育活動だった」として問題視しない考えを示しており、松本大臣もこれを支持した上で「特段問題があるとは考えていない」と述べた。地域や学校、児童生徒の実態に応じて外部人材と連携し教材を活用することは広く行われており、海上自衛隊は砕氷艦「しらせ」の運航をはじめ南極観測事業において大きな役割を果たしている組織であることも踏まえた判断だとした。自衛隊に関する学校教育全般については、学習指導要領に基づき、小学校社会科では自然災害から人々を守る自衛隊の活動を、中学校社会科では我が国の安全と防衛を、高等学校公民科「公共」では変化する国際情勢の中での自衛隊の役割をそれぞれ扱うこととなっており、こうした学習指導要領に沿った指導を引き続き求めていくと述べた。

名古屋大学の対応について「誠に残念」

名古屋大学東山キャンパス(名古屋市千種区)で開催された学園祭「名大祭」では、実行委員会の学生メンバーが他大学での出展を見たことを機に「来場者に災害派遣などの活動を知ってほしい」との思いで自衛隊を誘致していた。ところが6月13日に予定されていた自衛隊の出展が前日に急きょ中止となった。

名古屋大学は6月17日、安全性を確保できるか十分な検証を行わないまま関係部局のみの判断で中止を要請した経緯について「ガバナンス上の課題があった」と表明し、今後検証・改善していく考えを示した。同日、名古屋大学の杉山直総長が防衛省自衛隊愛知地方協力本部に直接謝罪した。この件への受け止めについて松本大臣は、学生による主体的な企画がこうした経緯で中止となったことは「誠に残念」と述べた。安全な実施を妨害する行為や、その懸念を理由として大学における学生の自由な活動が脅かされることはあってはならないとも強調し、文部科学省として名古屋大学の今後の検証などを踏まえ必要な助言を行っていく方針を示した。

大学病院での医療用RI廃棄物保管、各大学病院の要望を踏まえ対応へ

放射性同位体(RI)を用いた医療の研究開発が世界的に活発化する一方、使用済みの放射性医薬品廃棄物を一定期間保管し続けなければならないため、先端医療を手がける大学病院では保管スペースが逼迫しているとの声があることが記者から指摘された。松本大臣は、医療用RIが大学病院を含む医療機関で広く使用されていることを認めつつ、現時点で国立大学病院において保管スペースが不足しているとの状況は報告を受けていないと述べた。各大学病院からの施設整備に係る要望を踏まえて適切に対応していくとし、関係省庁の取り組みや大学病院の状況を注視しながら医療体制の充実に努めていく考えを示した。