「プログラミング教育」では「楽しむ姿勢」を最も重視[AD]
2020年度から小学校で必修化となったプログラミング教育。本調査では、全国の教育現場におけるプログラミング教育の取り組み状況等を探った。
調査主体:先端教育機構、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(ロボットトイ「toio™(トイオ)」)
調査サマリー
- 都道府県・市区町村の約9割※1が小学生からのプログラミング教育に前向き
- プログラミング教育で最も習得が重視される態度・知識・スキルは「プログラミングの学習に楽しんで取り組む」、続いて「『プログラミング的思考※2』ができる」
- プログラミング教育は、自治体規模による教育格差縮小の一助となる可能性がある
※1 アンケートに回答した318自治体より
※2 プログラミング的思考:自分が意図する一連の活動を実現するため、どのような動きの組み合わせが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組み合わせをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを理論的に考えていく力
調査の概要
- 目的:プログラミング教育の取組状況等を明らかにし、今後の教育政策・関連事業等に役立つ知見を得ること
- 内容:プログラミング教育の実施体制、取組状況、育成したい知識・スキルとその習得状況、課題等
- 調査主体:先端教育機構、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(ロボットトイ「toio™(トイオ)」)
- 方法:各自治体へ調査票を配布し、FAX or 専用 WEB で回収
- 実施時期:2020年4月~2020年6月
- 対象:全国都道府県・市区町村
- 回答自治体数:318自治体
1)プログラミング教育の取り組み状況
プログラミング教育担当職員の配置
自治体における取り組み
全国のプログラミング教育実施状況に関し、担当職員の配置については、「2.兼任の担当者を配置している」自治体は46.3%、次いで「3.必要に応じて担当者を割り当てている」自治体は26.0%。また、具体的な取り組みとしては、「12.管内学校における ICT 環境等を整備している」自治体や「1.教材に関する情報を収集をしている」自治体が7割を超えた。
2)プログラミング教育を開始すべき時期
プログラミング教育を始めるべき時期は、「小学生」と考える自治体が約9割。また、「小学校入学前」と回答した自治体も5.1%おり、早期からプログラミング教育に取り組むことが望ましいと考える自治体が多いことが明らかになった。
3)プログラミング教育で身につけてほしい態度・知識・スキル
多くの自治体がも最も重視しているのは「プログラミングの学習に楽しんで取り組む」。「『プログラミング的思考』ができる」、「間違いやエラーを恐れず、前向きにチャレンジしようとする姿勢」、についても多くの自治体が重視している。
4)プログラミング教育で身につけてほしい態度・知識・スキルの習得状況
習得状況は項目によってバラつきが見られる。最も多くの自治体が重視している「プログラミングの学習に楽しんで取り組む」は、他の項目に比してその習得が芳しい。「『プログラミング的思考』ができる」、「間違いやエラーを恐れず、前向きにチャレンジしようとする姿勢」、については改善の余地が大きい。
5)自治体規模による態度・知識・スキルの習得状況
いずれの項目も、自治体規模によって習得状況に差が見られる。規模が大きい自治体では、習得状況が相対的に芳しい傾向がある。また、習得状況だけでなく、紙幅の都合でグラフは非掲載だがプログラミング教育の実施状況等についても、自治体間で格差が見られる(大規模自治体ほど実施率が高いなど)。このままでは、地域間格差が拡大する恐れがある。
※ 4)、5)は管内の児童が身につけていると思うか、との質問に対し「とてもそう思う」「ややそう思う」と回答した自治体の割合
6)習得を促す可能性がある取り組み
プログラミング教育で身につけてほしい態度・知識・スキルのうち、回答数上位の3つの項目それぞれについて、自治体規模によらずプログラミング教育を実施することで、その習得を促す可能性があることが示唆された。
自治体からの声~プログラミング教育やその他の取り組み
- 小中学校でのプログラミング教材の開発や実際の授業にも取り組んできた。放課後に子供たちが集まる「放課後発明クラブ」でも創造力を育む取り組みを進めてきた。今後も、楽しい、主体的な学びが広がるようチャレンジしていく。
(高知県 佐川町) - GIGA スクールを活用するには柔軟な運用が必要であり教育現場に見合う活用ができるよう整備していきたい。
(茨城県 東海村) - 本市は2020年4月、3歳から中学校卒業までの12年間、共通の教育方針のもとで指導する「幼小中一貫教育」を開始した。ICT の積極的な活用(「未来の教室」事業の発展)により効率的な学びを実現するとともに、考える過程を視覚化する思考ツールを使って課題解決能力を身につけさせるなど、「論理的に考える力を持った15歳」の育成に取り組んでいる。
(静岡県 袋井市)
先端教育研究所のコメント
今回のアンケート調査により、多くの自治体ではプログラミング教育を通じて子どもたちに「楽しんで取り組む」姿勢や「プログラミング的思考」を育んでほしいと考えていることが分かった。
しかし、これらの習得状況やプログラミング教育の実施状況は自治体間で大きな差があり、このままでは地域格差が拡大しかねない。他方、自治体の規模等にかかわらず算数や総合の授業でプログラミング教育に取り組むことで、楽しんで取り組む姿勢やプログラミング的思考を促す可能性が見出されており、こうした活動を今後全国的に展開していくことが期待される。
ただしその際、多くの地域では教職員が多忙であり、必要な職能開発機会や支援員によるサポートも十分に整備されていないことを勘案し、学校現場のみに丸投げするのではなく、産官学が連携しながら前向きにプログラミング教育を実施できるよう、社会的に環境整備を進めていくことが求められる。
最後に、コロナ禍で困難な状況の中、本アンケートに協力してくださった各自治体の皆様に、この場をお借りして心よりお礼申し上げたい。
【問い合わせ先】
学校法人 先端教育機構 プログラミング教育 全国首長アンケート事務局
TEL:03-3478-8401
Mail:pjlab@mpd.ac.jp