ゲーム会社の社長体験で経営学ぶ 小中学校向け教材を無償提供
一般社団法人子供教育創造機構(東京都中央区)は、本日2025年9月11日、全国の小中学校向けカードゲーム教材『ゲーム開発で経営体験』の無償提供を開始したことを発表した。本教材は、児童・生徒一人ひとりがゲーム会社の「社長」となり、企画から決算までを意思決定する体験を通じて、経営の仕組みと挑戦する姿勢を学ぶことを目的としている。準備は教材PDFのカラー印刷のみで、45分からの授業に対応可能。総合的な学習(探究)の時間やキャリア教育における新たな教材として期待される。
現代の教育では、知識の習得だけでなく、主体的に社会と関わる力や、変化に対応する力の育成が求められている。こうした中、本教材は子どもたちが楽しみながら経営の基本を学べるツールとして注目される。本教材のねらいは、経営における「売上・費用・利益」という基本的な関係を、シミュレーションを通じて体験的に理解させることにある。児童・生徒は、自分で考え、選び、その結果を振り返るという一連のプロセスを通じて、主体性を育むことができる。
一般社団法人子供教育創造機構のプレスリリースより
本教材は、教育現場での導入しやすさと学習効果を両立させる特長を持つ。まず、参加者全員が経営者としてゲーム企画、人材採用(エンジニア・デザイナー)、顧客獲得、開発、販売、決算といった各フェーズで意思決定を行うことで、当事者意識を持って学習に取り組むことができる。また、「お金計算シート」を用いて「売上−費用=利益」という計算式を具体的な数字の動きとして可視化し、収益構造への理解を深める。さらに、教材はPDF形式で提供され、カラー印刷するだけで授業準備が完了するため、教員の負担を軽減し手軽に導入できる点も魅力だ。そして、プレイ後には専用のワークシートで「お金の流れ・市場の見立て・次回の工夫」を言語化する時間を設け、学びの定着と応用力を養うことを重視している。
カードゲーム教材『ゲーム開発で経営体験』。 一般社団法人子供教育創造機構のプレスリリースより
授業は学校のカリキュラムに応じて柔軟に設計されており、例えば45分版では導入10分、体験25分(1ターン)、振り返り10分という流れが、90分版では導入15分、体験60分(2〜3ターン)、発表と振り返り15分というモデルが提示されている。学年や教科の実態に応じて調整が可能であり、テーブル単位でファシリテーター役の教員がつくことで、より深い学びに繋げることができる。
無償提供の対象は、全国の小・中・高等学校、教育委員会、PTAで、授業や校内活動における非営利利用に限られる。教材はカード、進行ガイド、計算シート、振り返りシートを含むPDF一式がメールで送付される。教材データ自体の費用は無料だが、印刷費用は各学校や団体での負担となる。利用の際には、クレジットとして「提供:一般社団法人子供教育創造機構」の表記が求められる。