静岡県教育長 探究的な学びに力を注ぎ、社会に貢献する「有徳の人」を育む
静岡県は教育行政の基本理念として「『有徳の人』の育成」を掲げ、地域や産業界とも協働しながら、探究学習やグローバル人材の育成を推進している。「有徳の人」「探究できる人」の育成に向けた静岡県の取組と展望について、県教育委員会・池上重弘教育長に話を聞いた。
静岡県の未来を担う
「有徳の人」を育てる

池上 重弘
静岡県教育委員会 教育長
1963年生まれ。北海道大学大学院文学研究科を修了し、同大助手となる。その後、静岡県立大の講師を経て、静岡文化芸術大学助教授、2008年同大教授、2017年同大副学長。文科省、総務省等の有識者会議等の委員や愛知県、静岡県、浜松市等の多文化共生に関わる委員を歴任。2022年4月、静岡県教育委員会教育長に就任。
──静岡県は教育行政の基本理念として「『有徳の人』の育成」を掲げています。
「有徳の人」とは、知性・感性・身体能力など、自らの個性に応じて「才」を磨き、自立を目指す人であるとともに、多様な生き方と価値観を認め、自他を大切にしながら「徳」を積む人です。そして、社会や人のために貢献する「才徳兼備」の人です。
このように説明すると、高邁な理想のように聞こえるかもしれませんが、私は昨年、「有徳の人」とはこういう人であると腑に落ちる経験をしました。それは、静岡県立中央特別支援学校を視察した時のことです。
同校を訪れた際、体に障害のある子どもが私に「シトラスリボン」をくれました。シトラスリボンとは、…
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