東京と富山のDXハイスクール3校、情報教育の地域格差解消に向け遠隔合同授業を実施

12月10日、情報教育の地域格差解消に向け、東京と富山の「DXハイスクール」3校が遠隔合同授業を行った。

DXハイスクールは、情報教育や数学教育、文理横断的・探究的な学びに力を入れる高校にICT環境の整備費を支給する、国の「高等学校DX加速化推進事業」の採択校。

3校は東京の聖徳学園中学・高校と、富山の高岡向陵高校および新川高校(いずれも私立)。

富山の2校は人口減少と少子高齢化が進む地域に位置。情報教育を担う質の高い人材の確保に課題を抱えている。一方、聖徳学園中高は「データサイエンスコース」を有し、ハイレベルな情報教育で知られている。

そこで、3校をオンラインで接続。データサイエンスコースの部長を務めるドゥラゴ英理花氏が、富山の2校の生徒に遠隔でAIや統計学に関する授業を行った。全体のコーディネートは、富山の2校で学校DX戦略アドバイザーとして指導助言にあたる荒木貴之・社会構想大学院教授が、日本スマートパブリック株式会社と連携して行った。

3校をつなぐのには、Zoom社のオンライン会議システムと、Neatframe株式会社のオンライン会議用デバイスが用いられた。デバイス(撮影用の「Neat Board Pro」と投影用の「Neat Frame」)は、1人1台ではなく1教室1台。教室前方に設置したそれらを、URL不要でタップだけで操作できる特別仕様のオンライン会議システムで接続した。

1教室1台だと参加者の顔が小さくなってしまうものだが、「Neat Board Pro」は搭載AIにより人の顔を識別し、大写しに。参加者の反応を細かに見ることができる。その上、遠くの人の声は自動で増幅。スムーズに発言することができ、対面と変わらない感覚で自然に授業を受けられる。

Zoom社とNeatframe社はこのサービスを大分県にて、教育の地域格差解消に向けた国の「COREハイスクール・ネットワーク構想」事業の採択校を支援する中で開発。大分県の他に、北海道でも同様の試みを行っている。

今回は3校をつなぐにとどまったが、大分や北海道では10校以上をつなぐ取り組みも始まっているという。今後は、教師と生徒だけでなく生徒同士もつなぎ、グループワークやディスカッションも可能にしていく考えだ。また今回は3校とも私立高校であったが、公立高校でも実施していきたいとしている。


遠隔合同授業の様子(教員用モニターのスクリーンショット)。AIが参加者の顔を識別し大写しにするため、生徒の反応を細かに見ることができる。提供:ドゥラゴ英理花氏