グループ活動を取り入れれば学びが深まる訳ではない

本連載では、「学習科学(The Learning Sciences)」という最新の研究領域を核に、教育の二項対立的な議論を超え、私たちはどのように「人の学び」を捉えて、いかなる教育を実現していくことが求められているのか、事例を織り交ぜつつ考えていく。

グループ活動が盛り上がらない
ときの誤った対応策

名前

益川 弘如

博士(認知科学)。
専門は学習科学、認知科学、教育工学。一人ひとりなりに持っている「学ぶ力」を、対話を通して引き出す授業づくりや学習評価の在り方、ICT活用を追求している。また、学習観・授業観の変容に興味があり、子供たちや先生方が授業や研修を通して見直してゆけるような学習環境デザインに興味がある。

授業中に単にグループ活動を取り入れただけでは上手くいかないと感じられている先生方は多いのではないでしょうか。例えば、グループの中でその教科が得意な子が一人で全て解いてしまい、他の子がその子の考えを写すだけで終わってしまうようなパターンです。もしくは、グループになっても話し合いがはじまらず、ずっと沈黙のまま、机間巡視している先生からヒントをもらうまで待ち続けてしまうようなパターンです。

このような形で、グループ活動が上手くいかないと思われるときに、どのような解決策が取り入れられているでしょうか。

一つは、グループ活動のときに、参加しているメンバー全員が自分の意見をしっかりと言うことができるよう、各自が自分の意見を持つ時間をしっかり確保するというものです。もしくは、…

(※全文:2411文字 画像:あり)

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