なぜ学びは一人の中で閉じないのか 学びを深める対話のメカニズム

本連載では、「学習科学(The Learning Sciences)」という最新の研究領域を核に、教育の二項対立的な議論を超え、私たちはどのように「人の学び」を捉えて、いかなる教育を実現していくことが求められているのか、事例を織り交ぜつつ考えていく。

一人で学んだ方が
効率いいという経験則

益川 弘如

益川 弘如

博士(認知科学)。専門は学習科学、認知科学、教育工学。
一人ひとりなりに持っている「学ぶ力」を、対話を通して引き出す授業づくりや学習評価の在り方、ICT活用を追求している。また、学習観・授業観の変容に興味があり、子供たちや先生方が授業や研修を通して見直してゆけるような学習環境デザインに興味がある。

学習指導要領では、子供たちが主体的・対話的で深い学びを実現することが大事だとされています。主体的に学ぶことの重要さは誰でも認めるところだと思いますが、なぜ「主体的」と「対話的」が並列的に扱われていて対話的な学びも同様に重視されているのでしょうか。

みなさん自身が学習場面を振り返ると、家庭学習をはじめ、学校における読書タイムやドリルタイム、自習時間など、一人で学習しているイメージが強いのではないでしょうか。

また、一生懸命一人で学習に取り組んできた経験が強ければ強いほど、「なぜ、みんなで一緒に対話しながら学ばなければならないのか。…

(※全文:2457文字 画像:あり)

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