テストを効率的に解くための力「テストワイズネス」を超えていくために

本連載では、「学習科学(The Learning Sciences)」という最新の研究領域を核に、教育の二項対立的な議論を超え、私たちはどのように「人の学び」を捉えて、いかなる教育を実現していくことが求められているのか、事例を織り交ぜつつ考えていく。

テストではいかなる力を
測っているのか

益川 弘如

益川 弘如

聖心女子大学現代教養学部教育学科 教授
博士(認知科学)。専門は学習科学、認知科学、教育工学。一人ひとりなりに持っている「学ぶ力」を、対話を通して引き出す授業づくりや学習評価の在り方、ICT活用を追求している。また、学習観・授業観の変容に興味があり、子供たちや先生方が授業や研修を通して見直してゆけるような学習環境デザインに興味がある。

大学入試などハイステークステストにおける読解問題は、実際どのように受験者に解かれているのでしょうか。認知科学や教育心理学における読解研究では、文章読解時の処理の深さを「浅い処理」と「深い処理」とに区別し検討するモデルが存在します。浅い処理とは、読解対象の文中に含まれる単語や単語間の関係性のみからその内容を把握しようとするテキストの直接的な理解です。一方、深い処理とは、文章の内容と自ら知っている知識とを組み合わせて文章全体が何を指し示すのかを意味を求めて把握しようとする理解です。

(※全文:2699文字 画像:あり)

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