先生の授業観・学習観、研修観が変わり、子供たちが変わる

本連載では、「学習科学(The Learning Sciences)」という最新の研究領域を核に、教育の二項対立的な議論を超え、私たちはどのように「人の学び」を捉えて、いかなる教育を実現していくことが求められているのか、事例を織り交ぜつつ考えていく。

学ぶ力を引き出す学習環境
をデザインする教員養成

益川 弘如

益川 弘如

聖心女子大学現代教養学部教育学科 教授
博士(認知科学)。専門は学習科学、認知科学、教育工学。一人ひとりなりに持っている「学ぶ力」を、対話を通して引き出す授業づくりや学習評価の在り方、ICT活用を追求している。また、学習観・授業観の変容に興味があり、子供たちや先生方が授業や研修を通して見直してゆけるような学習環境デザインに興味がある。

これまでの連載では、教育の世界は二項対立的に「何をすべきなのか」という形で「振り子」のように触れ続ける歴史であることを紹介し、その振り子を止めるべく、「人はいかに学ぶのか」の知見に基づき、どのような学習環境(授業づくりや学習評価)をデザインし、進めていけば良さそうかについて紹介してきました。重要なのはこれまでの経験則から当たり前だと思いこんできた「教育とはこういうもの」「人はこういうときうまく学べる」というものを見直していくことです。

2022年12月に出された中教審答申※1では、子供たちの学び(授業観・学習観)とともに教師自身の学び(研修観)を転換することの重要性を示しました。しかし、いかなる授業観・学習観を目指すのか、また研修観を目指すと良さそうなのかについては曖昧であり、…

(※全文:2781 文字 画像:あり)

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