「人とAIは何が違うのか?」からAIの教育利用を考える(その2)

本連載では、「学習科学(The Learning Sciences)」という最新の研究領域を核に、 教育の二項対立的な議論を超え、私たちはどのように「人の学び」を捉えて、 いかなる教育を実現していくことが求められているのか、事例を織り交ぜつつ考えていく。

AIドリルは教師の仕事を
置き換えるのか

益川 弘如

益川 弘如

聖心女子大学 現代教養学部教育学科 教授
博士(認知科学)。専門は学習科学、認知科学、教育工学。一人ひとりなりに持っている「学ぶ力」を、対話を通して引き出す授業づくりや学習評価の在り方、ICT 活用を追求している。また、学習観・授業観の変容に興味があり、子供たちや先生方が授業や研修を通して見直してゆけるような学習環境デザインに興味がある。

前回に続き、人とAIの学びの違いからAIの教育利用を考えていきたいと思います。AIの発達に伴って、様々な職業がAIに置き換えられてしまうのではないかと言われ、学校教育においても例外なく話題になっています。教師の仕事もいずれすべてがAIに置き換わられてしまうのでしょうか。

GIGAスクール構想による一人一台端末の整備以降、話題になっているのが個別最適な学びにおける学習アプリの存在です。子供たちが一人一台端末の学習アプリを使うことによって、先生の手から離れ、子供たちの回答データから学習状況を判断し、その子に応じた問題を出題していきます。最近はこのようなドリル型アプリをまとめて「AIドリル」と言われています。AIドリルは特に学習の個別化に役立つ道具として注目されています。特に、…

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