公共政策学とは何か?4つの志向と2つの知識

第二次世界大戦後に公共政策と政策決定の改善を目的として公共政策学という学問が提唱されました。今回は、公共政策学という学問について、4つの志向(問題志向、コンテクスト志向、多元性志向、規範志向)という特性と、2つの知識(inの知識、ofの知識)という研究領域から説明していきます。

公共政策学の4つの志向

秋吉 貴雄

秋吉 貴雄

中央大学 法学部 教授
一橋大学博士(商学)。専門は公共政策学、政策過程論。主に、政策決定過程の理論研究と規制改革等の事例分析を行ってきた。近年は、政府組織における学習(政府学習)、政策プロセスのマネジメント、ルールチェンジ・ルールメイキングのプロセスと戦略といった領域に関心を持って研究を進めている。

第二次世界大戦後、公共政策と政策決定の改善を目的とする「公共政策学」という学問が提唱されました。この新しい学問は具体的にどのような学問なのでしょうか。

公共政策学の特性として第一に挙げられるのが「問題志向」です。既存の学問では、研究者は当該学問の理論体系への寄与の度合いによって評価されるため、「学問のための知識」の生産(例えば、学術雑誌への論文を掲載すること)が重視されがちになります。しかし、公共政策学ではそのような「学問のための学問」という姿勢だけでなく、「政策問題を解決するための学問」であることも求めています。

第二の特性が「コンテクスト志向」です。政策問題は…

(※全文:2711 文字 画像:あり)

全文を読むには有料プランへのご登録が必要です。