政策問題の構造の分析 問題要因の探索と関連性の分析

政府の政策アジェンダに設定されると政策問題への対策が正式に検討され始めます。しかし、政策問題の大半は「厄介な問題(wicked problem)」であり、対応を間違えると問題を更に悪化させることもあります。今回は政策問題の特性を踏まえ、どのように問題の構造を分析すべきか説明していきます。

政策問題の複雑性と悪構造性

秋吉 貴雄

秋吉 貴雄

中央大学 法学部 教授
一橋大学博士(商学)。専門は公共政策学、政策過程論。主に、政策決定過程の理論研究と規制改革等の事例分析とを行ってきた。近年は、政府組織における学習(政府学習)、政策プロセスのマネジメント、ルールチェンジ・ルールメイキングのプロセスと戦略といった領域に関心を持って研究を進めている。

前回説明しましたように、政策問題は政府の「アジェンダ(agenda)」に設定されることによって、解決の正式な対象となります。

問題解決の対象となると、政府による解決案(政策代替案)が検討されることになるのですが、その前の段階として政策問題自体の分析が必要になります。

本連載の第一回で触れたように、政策問題には「複雑性」という特性があります。具体的には、①総合性(複数の問題と相互に関連)、②相反性(ある問題の解決によって別の問題が悪化)、③主観性(多様な主体による多様な問題定義)、④動態性(問題構造と要因が時間とともに変化)といった特徴が指摘されています。

例えば、近年深刻化している政策問題に、…

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