政策アジェンダの設定 アジェンダをめぐる政治力学と戦略的対応

社会の「不都合な状態」が発見され、政策問題として定義されたとしても、社会には多くの問題があるため、政府が問題解決の対象とする「アジェンダ」に設定される必要があります。今回は、政策アジェンダはどのように設定されるのか、それにどのように戦略的に対応すべきか説明していきます。

2つのアジェンダ

秋吉 貴雄

秋吉 貴雄

中央大学 法学部 教授
一橋大学博士(商学)。専門は公共政策学、政策過程論。主に、政策決定過程の理論研究と規制改革等の事例分析とを行ってきた。近年は、政府組織における学習(政府学習)、政策プロセスのマネジメント、ルールチェンジ・ルールメイキングのプロセスと戦略といった領域に関心を持って研究を進めている。

前回説明しましたように、社会の「不都合な状態」が政策によって解決されるためには、まず、その状態が発見され、「政策問題」として定義されることが必要となります。しかし、それだけでは十分ではありません。なぜなら、社会には多くの問題があり、政府は人員や資金等のリソースの制約から全ての問題に対応できないからです。そのため、政策問題の発見と定義の次の段階として、政策問題が「アジェンダ(agenda)」に設定されることが必要になります。

(※全文:2505文字 画像:あり)

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