政策の実施 実施のデザインと組織間連携

政策問題を解決するための政策代替案が法律の制定によって政策として正式に決定されると、その政策を実施する段階に入ります。担当府省は政策を実施するための仕組みを準備し、様々な組織が連携しながら実施します。今回は政策の実施の過程について説明していきます。

実施デザイン

秋吉 貴雄

秋吉 貴雄

一橋大学博士(商学)。
専門は公共政策学、政策過程論。主に、政策決定過程の理論研究と規制改革等の事例分析とを行ってきた。近年は、政府組織における学習(政府学習)、政策プロセスのマネジメント、ルールチェンジ・ルールメイキングのプロセスと戦略といった領域に関心を持って研究を進めている。

政策問題を解決するための政策が検討されると、前回見ましたように関連する法律が国会で決定・制定されます。そして、その政策を実際に実施する段階に入ります。

法律が制定されると後は自動的に担当部局によって粛々と政策が実施されると思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、政策が対象とする人々に対して過不足なく実施して、政策を検討する際に目標とした成果を達成するためには様々な工夫が必要になります。

法律制定後に担当府省によってまず行われるのが、実施のための様々な命令や指示の準備です。法律には政策の実施機関、権限、財源などについての大まかなことは書かれていますが、政策実施をする上での細かい基準といった規定は書かれていません。そのため、法律の執行にともなって、内閣は「政令」を定め、…

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