公立小学校教員の残業代訴訟、一部を労働時間に認定も棄却
教員の時間外労働に対する割増賃金が一切支払われないのは違法だとして、埼玉県内の公立小学校の教員が県に約242万円を求めた訴訟で、さいたま地裁(石垣陽介裁判長)は10月1日、請求を棄却した。
公務員の教員には給特法が適用される。同法が定める、いわゆる「超勤4項目」と呼ばれる4つの業務(実習、学校行事、職員会議、非常災害)に限って、残業代の対象になるとされていたため、4項目に該当しない多くの業務が教員の自発的な行為とされ、長時間労働に繋がるなど教育現場では長らく問題と指摘されてきた。
今回の判決は、労基法37条に基づく時間外割増賃金の請求は、給特法が37条の適用を排除しているため、理由がないとされた。また、予備的請求である労基法32条の規制を超えて時間外労働させたことが国賠法上違法であるとの請求に関しては、原告教員が労働時間外に行っていた登校指導、朝会の引率など、一部が労働時間に当たると判断されたが、校長が労基法32条違反についての故意又は過失があるとは認められず、国賠法上の違法性は認められなかった。原告は判決を受け、控訴の方針を示している。
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