公立小中学校が全校バリアフリー化へ 2030年目標

8月5日、文部科学省の「学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議」の第3回会合がオンラインで開催され、公立小中学校のバリアフリー化に向けた新たな整備目標案が示された。この案では、2030年度末までに、すべての学校でバリアフリートイレ、スロープによる段差解消、エレベーターの整備を原則100%達成することを目指すことが盛り込まれた。

文科省の公式ホームページより

文部科学省は、2020年のバリアフリー法改正により公立小中学校でのバリアフリー対応が努力義務化されたことを受け、2025年度末までに避難所となる学校などでのバリアフリー化を進めてきた。しかし、今年度末の整備見通しは、避難所に指定されている学校でのバリアフリートイレ設置率が校舎で77.1%、屋内運動場で51.3%にとどまるなど、目標達成には至っていない。

こうした現状を踏まえ、新たな整備目標案が策定された。具体的には、災害時に避難所に指定されているすべての学校の校舎・屋内運動場へのバリアフリートイレの設置、すべての学校での校舎・屋内運動場のスロープなどによる段差解消、要配慮児童生徒が在籍するすべての学校へのエレベーターの整備を掲げている。特に、バリアフリートイレについては、災害時の避難生活に不可欠な機能として、長寿命化改修などの大規模改修時には各階への設置を促す方針。スロープは、円滑な移動に欠かせない基本的な機能、エレベーターは、要配慮児童生徒の日常的な移動を円滑に行う上で必要不可欠な機能として、原則100%の整備を目指す。

また、バリアフリー化に関する自治体の整備計画・方針の策定率が現在約3分の1にとどまっていることから、2030年度までにすべての自治体が策定する目標も示された。

文科省の公式ホームページより

さらに、同時に改訂される「学校施設バリアフリー化推進指針」改訂案では、学校施設のバリアフリー化を計画的に進めるにあたって、児童生徒や教職員、保護者、地域の障害者団体など、幅広く当事者が参画し、合意形成を図る重要性が強調された。

これらの新たな整備目標案と指針改訂案は、会議でおおむね了承され、8月中に公表される見通しだ。