社員のスキルマップを宝の地図に変える方法

「社員のスキルを可視化し、戦略的な人材育成を行いたい」 多くの経営者や人事担当者がそう考え、一度は「スキルマップ」作成に取り組む企業は多い。 しかし、その一方で、多大な労力をかけて作成したスキルマップが、いつの間にか更新されなくなり、参照もされない「ただのファイル」になってしまうケースが後を絶たない。 効果があるはずなのに、なぜ自社のスキルマップは形骸化してしまうのか? その根本的な原因と、スキルマップを真に価値ある「人材育成の羅針盤」に変えるための重要なポイントを、最新の調査結果から読み解く。

この調査は株式会社Hajimariが2025年6月に実施したもので、8月13日に発表した。全国に複数拠点を有し、従業員のスキルマップを作成している企業(従業員数500名以上)の人材育成責任者・担当者111名を対象に行われた。 調査結果によると、93.7%の人事担当者が、人材育成に活用できていると回答している。しかし、活用における課題も浮き彫りになった。作成フェーズでの課題に焦点を当てると、「スキル項目の洗い出しと定義付け」が30.7%で最も多く、次いで「スキルマップの目的・範囲の明確化」が26.1%、「評価基準・レベルの設定」が24.3%という結果になった。
 HR University(https://hr-university.jp/lp) の調査より。



スキルマップの見直し頻度については、「半年ごとに見直している」が41.5%、「毎年見直している」が30.6%という結果になっており、各社が維持に努めている様子もうかがえる。注目すべきは、活用段階以前の作成フェーズだ。スキル項目の洗い出しと定義付けに課題を感じている担当者が約3割おり、最も大きい課題ということが示唆されている。

スキルマップは、多くの企業がその効果を認めつつも、ポテンシャルを最大限に引き出せていないのが現状だ。スキルマップを単に作っただけで終わらせず、真に価値あるツールとするためには、作成段階のスキル項目の洗い出しと定義付けという最初のステップにこそ、成功の鍵が隠されていると言えるだろう。