大学が寄附拡大を目指すために必要なことは何か

クラウドファンディング等、日本の大学でも寄附の多様化が進む中、大学全体の寄附を引上げている京都大学の取組みを検証する。
(協力 小山房男 京都大学 iPS細胞研究所 基金室長、渡邉文隆(公財)京都大学iPS細胞研究財団 社会連携室長)

10兆円ファンドと
大学の寄附

現在、政府のほうで10兆円ファンドの創設に向けた議論が進んでいる。内閣府「総合科学技術・イノベーション会議 世界と伍する研究大学専門調査会」においても、我が国の大学への寄附金額が諸外国と比して見劣りする状況にある中、世界と伍する研究大学を目指すためには、改めて寄附の獲得の重要性を認識し大学の長などの上層部が中心となってステークホルダーとの関係を深めることや、ファンドレイジングの専門家の確保などの体制を構築することの重要性が指摘されている。

大学にとって寄附募集というのは、慶應義塾大学における三田会などの同窓会組織を中心とした寄附募集、信託銀行などと連携した個人の遺贈の寄附募集、法人向けの寄附募集活動、ファンドレイザーなどの寄附募集の人材・組織整備など様々な取り組みは従来から行われてきた。最近ではクラウドファンディングを活用した研究者への寄附なども取組が進んでおり、最近では東京大学の研究者が行った「猫の腎臓病の治療薬開発」に対して寄附が史上最速のペース(東京大学)で集まるなど、…

(※全文:3078文字 画像:あり)

全文を読むには有料プランへのご登録が必要です。