寄附獲得への創意工夫、新型コロナ対策としても重要に

日本の大学は欧米に比べ寄附獲得への取り組みが遅れていると言われてきたが、近年では創意工夫で受入額を伸ばす大学も増えてきた。新型コロナ対策の寄附呼びかけも広がっている。

新型コロナウイルス感染症と、大学への寄附

植草 茂樹(うえくさ・しげき)

植草 茂樹(うえくさ・しげき)

公認会計士(事業構想修士、東京工業大学特任専門員、東京農業大学客員研究員)。大手監査法人教育セクター支援室にて会計監査・経営支援を経験後、独立。USR(大学の社会的責任)研究会の立上に関与。「学校法人活性化・再生研究会」元委員、文部科学省独法外部評価委員、文部科学省「国立大学法人会計基準等検討会議」委員など歴任。

江端 新吾(えばた・しんご)

江端 新吾(えばた・しんご)

内閣府政策統括官(科学技術・イノベーション担当)付上席科学技術政策フェロー、東京工業大学統括理事・副学長特別補佐/戦略的経営オフィス教授。文部科学省技術・学術審議会研究開発基盤部会委員。北海道大学にて博士(理学)を取得。北海道大学 URA ステーション副ステーション長、同大総合 IR 室室長補佐を歴任した後、2019年度より東京工業大学に着任。

猛威をふるう新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)によって、大学・大学生にも大きな影響が出ていることは様々報道されている。大学病院の医療現場のご努力や、ウイルスに対する臨床研究など、様々な大学で進められている取り組みに感謝を伝えたい。大学ではオンライン授業や留学生への対応などに追われているが、アルバイトなどの就業の機会を奪われ退学を検討する学生も出ているという。

その対応として、大学でも学生に現金支給する取り組みも始まっている。

早稲田大学では全学生に10万円を給付し、経済的に困窮している学生の授業料の延納にも応じるほか、広島大学では困窮する学生に月3万円を給付しその原資は大学の基金を活用する。両大学ともこの対応のため「寄附」の呼びかけを始めている。

図表1は5月1日時点で新型コロナ対策のための緊急的な寄附の呼びかけを行った主な大学の一覧である。

多くの大学では学生支援が目的であるが、新型コロナへの対応への支援を求める基金を創設した東京大学や、治療薬早期発見ための支援を呼びかける北里大学など、病院を持つ大学においては独自の取り組みが見られる。

今後、国等による大学の医療や学生支援、研究に対する支援についても期待されるところである…

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