薬の「効果」はどう調べる? 薬に関する報道を見る際に知っておきたい視点

新型コロナの治療薬候補として様々な薬が噂になり「芸能人が飲んで治癒」「○○クリニックでは●人を治療」といった報道が相次いだが、そのほとんどは治療薬として承認されていない。なぜなのか?今回は、医療における薬の効果の確かめ方について紹介する。

飲んだら効いた! ではダメ?
「薬の効果」とは

市川 衛

市川 衛

2000年、東京大学医学部健康科学・看護学科卒業後、NHK入局。
医療・健康分野を中心に国際的に取材活動を展開。2016年スタンフォード大学客員研究員を経て、2017年一般社団法人メディカルジャーナリズム勉強会を設立し代表に就任。2021年にNHKを退職後は、READYFOR株式会社 基金開発・公共政策部門の責任者として社会課題の解決のため活動する団体の支援事業を行う。2020年より広島大学医学部客員准教授(公衆衛生)に就任。東京大学、産業医科大学などで医師や医学生を主な対象に教育活動を行っている。

2020年4月21日、サンケイスポーツは「クドカン、コロナ闘病談『アビガン』飲んで快方!!」という記事を配信しました。脚本家の宮藤官九郎さんが新型コロナに感染。病院でアビガンという薬を処方されたところ、熱が下がり改善に向かったとして「クドカンが期待の新薬で命を救われていた」と書いています。この記事を読むと劇的な効果がありそうですが、感染拡大から2年以上たった今も、アビガンは新型コロナの治療薬として国の承認を受けていません。一体なぜなのでしょうか?
注:アビガンは、「インフルエンザ」の治療薬としては限られた条件における使用については国の承認を受けています。

そもそも、薬の効果はどうすれば証明できるのでしょうか。例えば病気のAさんに、ある薬を飲んでもらい、改善したら有効と言えるでしょうか。でもよく考えると、…

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