「○○茶を飲んだら血糖値が下がった」は本当か 〜『平均への回帰』のワナ

テレビの健康番組や、健康食品の宣伝などで「高い血糖に悩む被験者に○○を1週間試してもらったところ、血糖値が大幅ダウン!」といったような内容が報じられることがある。こうした情報を見極める際に重要な「平均への回帰」の考え方を紹介する。

市川 衛

市川 衛

2000年、東京大学医学部健康科学・看護学科卒業後、NHK入局。
医療・健康分野を中心に国際的に取材活動を展開。2016年スタンフォード大学客員研究員を経て、2017年一般社団法人メディカルジャーナリズム勉強会を設立し代表に就任。
2021年にNHKを退職後は、READYFOR株式会社 基金開発・公共政策部門の責任者として社会課題の解決のため活動する団体の支援事業を行う。2020年より広島大学医学部客員准教授(公衆衛生)に就任。東京大学、産業医科大学などで医師や医学生を主な対象に教育活動を行っている。

テレビの健康番組などで、こんな内容を目にしたことがありませんか?

「○○茶は、本当に血糖値対策に意味があるのかを番組では検証しました。100人の方の血糖値を調べ、特に数値が高い30人を選抜。毎日の生活は全く変えずに、朝に1回だけ○○茶を飲んでいただきました。1週間後、血糖値を調べてみるとビックリ! なんと血糖値の平均が、10も下がっていたんです!」

この結果を見ると、○○茶に血糖値を抑える効果があることは明らかに思えます。血糖値にお悩みを抱える人であれば、「明日はスーパーに行って、○○茶を買ってこなきゃ!」と思われるかもしれません。でも実はこの論理展開には、大きな落とし穴というか、ワナがあります。この「1週間後の血糖値の降下」は、○○茶を飲むか飲まないかに関わらず、…

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