メディアが報じる医療・健康のデータを適切に解釈するポイントは?
「○○県で××が大流行」など、医療に関するニュースが大きく報じられることがある。こうした報道を見て、何か対策しなければと不安に感じることもあるだろう。しかし中には、解釈に注意が必要なケースも少なくない。医療ニュースを適切に解釈するポイントとは?
危険な感染症の患者数が
「急増」?

市川 衛
2000年、東京大学医学部健康科学・看護学科卒業後、NHK入局。
医療・健康分野を中心に国際的に取材活動を展開。2016年スタンフォード大学客員研究員を経て、2017年一般社団法人メディカルジャーナリズム勉強会を設立し代表に就任。2021年にNHKを退職後は、READYFOR株式会社 基金開発・公共政策部門の責任者として社会課題の解決のため活動する団体の支援事業を行う。2020年より広島大学医学部客員准教授(公衆衛生)に就任。東京大学、産業医科大学などで医師や医学生を主な対象に教育活動を行っている。
新型コロナより高い感染力を持つ、危険な感染症があります。「はしか(麻疹)」です。その感染拡大が報じられたことがありました。2016年9月2日の産経新聞は次のように伝えています。
「強い感染力を持ち、高熱や発疹など重い症状が出るはしか(麻疹)の発症者が直近の1週間で30人近く報告されていることが1日、厚生労働省への取材で分かった。8月24日までの患者数は32人だったが、この1週間で倍増し、昨年の年間患者数35人を上回るのは確実。」
はしかウイルスは、乳幼児が感染すると脳症など深刻な状態になることがあります。ですので、流行しているとすれば心配になります。実際この2016年、最終的に前年の約5倍の165人が感染しました。
ではここで、質問です。およそ20年前の2001年のはしかの患者数は、…
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