医療健康情報を読み解く「心構え」 〜世界はより良くなっている

がん、コロナ、心臓病、脳卒中…。医療や健康にまつわるニュースを見ていると、世の中は危険に満ち溢れ、不健康になっているように感じる。しかし実際は、その逆だ。連載最終回の今回は、医療健康の情報を読み解く際に筆者が最も大事と考える「心構え」を紹介する。

市川 衛

市川 衛

2000年、東京大学医学部健康科学・看護学科卒業後、NHK入局。
医療・健康分野を中心に国際的に取材活動を展開。2016年スタンフォード大学客員研究員を経て、2017年一般社団法人メディカルジャーナリズム勉強会を設立し代表に就任。2021年にNHKを退職後は、READYFOR株式会社 基金開発・公共政策部門の責任者として社会課題の解決のため活動する団体の支援事業を行う。2020年より広島大学医学部客員准教授(公衆衛生)に就任。東京大学、産業医科大学などで医師や医学生を主な対象に教育活動を行っている。

質問です。自然災害で1年に亡くなる人の数(世界全体)は、100年前と比べて、どう変化したでしょうか?(なおこの間、世界の人口は50億人ほど増えました)

A 2倍以上になった
B 変わらない
C 半分以下になった

いかがでしょう。最近は地球温暖化で、悲惨な災害のニュースをよく見るようになりました。なので答えはAかな…と思いそうですが、正解はCです。100年前と比べて半分どころか、およそ4分の1になりました。しかもこの間の人口の増加を考慮に入れると、災害で亡くなる人の割合は100年前に比べてなんと16分の1になっています。

台風や地震が減ったわけではありません。100年前に比べ世界全体として経済が成長し、…

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